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DXのトレンドは今、単なるデジタルツールの導入から、AIやデータ活用を前提としたビジネスモデルの再構築にシフトしています。しかし、足元では「基幹システムではカバーできない業務」がブラックボックス化しており、複雑なプロセスと属人化が担当者を疲弊させているケースも多いのではないでしょうか。DXで高い理想を掲げても、足元の業務がスパゲッティ状態では目標を達成することもままなりません。このような「業務のカオス」を解消し、真のDXへと踏み出す切り札として注目されているのが、BPM(ビジネスプロセス管理)ツールです。
本記事では、なぜ業務が複雑化・属人化するのかという課題の原因を解説し、このBPMツールがもたらす効果と、BPMツール 導入を成功させるためのポイントを紹介します。
 

なぜ業務はこれほど複雑化・属人化するのか?

業務の複雑化・属人化の解消は、まさにDXの「一丁目一番地」です。これまで多くの企業では、特定の部署・特定の業務に限定した「個別最適」を行ってきました。しかし、部分的な効率化では大きな効果は生まれません。それどころか、ベストを尽くして効率化したはずが、独自のルールが乱立し、皮肉にも「その人にしかできない業務」を増やしてしまっているのです。なぜ、こうした事態に陥ってしまうのか、その根本原因を掘り下げてみましょう。


原因となるのは、主に下記3つの要素です。


①   基幹システム(ERPなど)の「外」に残った非効率業務のブラックボックス化
②   ERP改修のコストと時間による業務プロセスの硬直化
②   複数のシステムやツールが乱立し、UXとデータが分散

① 基幹システム(ERPなど)の「外」に残った非効率業務のブラックボックス化

ERP(Enterprise Resource Planning)は、標準化された業務プロセス(ベストプラクティス)で設計されています。そのため、業務をERPに合わせることで、大きな効果が期待できます。しかし、実際問題として、ERPと業務には小さなギャップが無数に存在します。
例えば、ERPに入力するためのデータをExcelやスプレッドシートで作成したり、ERPから出力したデータをExcelなどで加工したりする業務は、多くの企業に存在するのではないでしょうか。Excelなどの業務は、担当者以外の人からは見えにくく、ブラックボックス化してしまいます。この課題は、BPMツール 導入によって解消が可能です。

②ERP改修のコストと時間による業務プロセスの硬直化

本来であれば、ERPの外にある業務も全体最適化された形でシステム化されるべきですが、「ERPの改修」という高い壁が立ちはだかります。外部ベンダーへの依頼は高額で、開発期間も数か月単位でかかります。ビジネスが刻一刻と変化する中で、このコストと改修ペースでは追い付きません。その結果、システム化できず「やむを得ず手作業でなんとかする業務」も多数存在しており、非効率が積み重なってしまいます。迅速な対応が可能な改善サイクルを回すことが重要であり、ここにBPMツール 導入が有効です。

③複数のシステムやツールが乱立し、UXとデータが分散

SaaS(クラウドサービス)の普及により、事業部門がIT知識なしで便利なツールを導入することができるようになりました。これには良い面もありますが、ガバナンスが効かない「シャドーIT」を招くというデメリットもあります。あちこちにツールが乱立し、データも操作感(UX)もバラバラな状態となり、業務プロセスが複雑になるのも無理はありません。この結果、全体の情報連携、業務の流れの把握が困難となり、業務の流れが把握しにくくなり、業務効率化を阻害します。
まとめると、業務の属人化・複雑化の温床となっている背景は以下のとおりです。
•    ERPとその周辺システムでカバーできていない業務をExcelなどのツールで無理やり回している。
•    システム改修は高コスト・長期間のため断念せざるを得ない。
•    Excel業務の増大とSaaSの乱立により、業務全体の情報連携・業務の流れの把握ができなくなっている。

BPMツールがもたらす「属人化・複雑化」への処方箋

DXの足かせとなり、業務担当者を疲弊させる業務の属人化・複雑化を解消するためには、担当者や部署の壁を超えて取り組まなければなりません。こうした中で注目されているのが、BPM(ビジネスプロセス管理)ツールです。
BPMは、一言で言うと「業務プロセス全体を整理・統合するための基盤」です。業務の流れ全体を可視化することで、継続的に改善することができます。

BPMツールの特長と機能

BPMツールには次のような特長があります。


①プロセスを可視化できる機能
②タスクを自動で受け渡すことができる機能
③継続的な改善ができる機能

①プロセスを可視化できる機能

•    「誰が、いつ、何を、どう判断して、次に回すか」を図式化できます。
•    ドラッグ&ドロップでフローチャートを描くように業務手順を定義できます。
•    業務の現状把握が容易になり、問題点(ボトルネック)の特定に役立ちます。

②タスクを自動で受け渡すことができる機能

•    担当者の画面に「今日やるべきタスク」を表示し、完了ボタンを押せば自動的に次の担当者やシステムへボールを渡します。
•    また、APIなどを通じて基幹システム(ERP)やほかのSaaSとデータを自動連携させることができます。
•    手作業や手間を削減し、業務効率化につながります。

③継続的な改善ができる機能

•    業務の進捗やパフォーマンスを数値で測定し、改善サイクル(PDCAサイクル)を回すことができます。
•    一度作ったら終わりのシステムとは異なり、分析結果をもとにフローを修正し、即座に適用できます。
•    リアルタイムな状況把握と迅速な対応が可能になり、業務品質の向上に貢献します。

BPMツールによる属人化、複雑化の解決策

BPMツールは、上記の機能を活用することで、業務の属人化・複雑化という課題を以下のように解決します。


①手作業も含めて業務をBPM上に集約
②ローコード開発による内製化で、業務全体を効率化
③統合されたUXとデータで「迷わない業務」へ

① 手作業も含めて業務をBPM上に集約

Excelだけでなく、紙やメール、SaaSで行う業務をすべてBPMの基盤上に集約します。さらにドキュメントについても案件と紐づけて一元管理します。こうすることで、複雑な業務を可視化し、継続的な改善ができるようになります。全体像の可視化は、業務改善の第一歩です。

②ローコード開発による内製化で、業務全体を効率化

「システム化したいが予算がない」と諦めていた業務も、ローコード開発ツールと組み合わせれば、IT知識が少ない人でもアプリ化が可能です。さらに、ETLやAPI機能でERPや周辺システムをつなぎ、二重入力の手間を一掃します。これにより、自社で迅速に業務対応可能なシステムを構築し、コストを削減しながら業務効率化を実現できます。

③統合されたUXとデータで「迷わない業務」へ

BPMでは標準化された高品質な画面を提供します。また、画面のカスタマイズも可能です。例えば、社内ルールやKPIのグラフなどを一目で確認できるダッシュボードを短時間で作ることができます。統一したUXを提供し、点在していたデータを一元管理することで、属人化を防ぎます。誰でも簡単に操作できる使いやすさが重要です。

失敗しないための「BPMツール 選定」3つの重要ポイント

市場には多くのBPMツールがありますが、以下の3つのポイントを押さえて選定することが成功の鍵です。企業の業務状況に適したツールを選ぶことが、BPMツール 導入効果を最大化します。


①適用業務範囲の広さと柔軟な拡張性があるか
②基幹システム、SaaSを含む他システムとの連携が可能か
③親和性が高いローコードツールが存在するか
④「使いやすさ」が担保されているか

①適用業務範囲の広さと柔軟な拡張性があるか

•    会社全体の業務をカバーする必要があるため、幅広い業務に適用できるか、柔軟な拡張性があるかを確認する必要があります。
•    海外製のBPMツールは「プロセスはシンプルであるべき」というコンセプトで設計されており、複雑な日本企業の商習慣に適合できないケースもあるため、注意点が必要です。
•    将来的な業務変化や追加ニーズにも対応可能な柔軟性を持つことが重要です。

②基幹システム、SaaSを含む他システムとの連携が可能か

•    BPMはERPを始めとして多数存在するシステムのハブとなるツールです。
•    基幹システム、DWH、SaaSなど、既存システムとスムーズにデータ連携(API、SQLなど)できるかが効力を左右します。これはBPMツールの重要な機能の一つです。
•    データの一元管理と二重入力の防止に不可欠な機能です。

③親和性が高いローコードツールがあるか

•    ローコードツールは必要な業務を迅速に立ち上げ、BPMの標準化を補完します。
•    部門単位で開発するアプリが孤立せず、BPMとシームレスに連携すると全体最適につながります。
•    BPMと親和性があるローコードツールと組み合わせると、短期的な導入効果と長期的な拡張性を両立できます。

④「使いやすさ」が担保されているか

•    どんなに高機能でも、利用者が使えなければ効果を出すことができません。
•    直感的なUXか、ユーザーの行動分析やアンケートなどを通じて、改善策を実行できるか、自社の状況に合った豊富なサポートが用意されているかを確認しましょう。
•    現場担当者が積極的に利用するための操作性の良さとサポート体制が、BPMツール 導入成功の鍵となります。

【事例】BPMツール導入が切り拓いた、業務改革のリアル

それではBPMツールを導入して、具体的にどのような課題を解決できるのか、事例をもとにご紹介します。これらの導入事例は、BPMの効果と企業全体の生産性向上への貢献を示しています。

BPO事業者におけるBPMツールの導入(ピーク時の人員削減)

【課題】

複雑な原票精査業務が属人化し、ピーク時に業務がパンク。工程が複雑なため、新人育成にも時間がかかっている。

【解決策】

BPMでプロセスを可視化・細分化、一部を自動化して再構築。工程を細分化したことで、新人教育の時間を短縮。

【成果】

1件あたりの処理時間を32%削減、ピーク月の必要人員を40%削減。
プロセスの可視化と標準化により、業務の手順を明確にし、属人化を解消し、生産性を向上させました。これもBPMツールの優れた機能の活用事例です。

運送会社におけるBPMツールの導入(多拠点業務の平準化)

【課題】

拠点ごとに委託元からの依頼を受けており、調整業務が煩雑化。

【解決策】

依頼をBPM上の申請に統一し、担当者の自動振り分けをBPM上に実装。

【成果】

業務コスト42%削減、納期48%短縮、業務処理件数100%増を達成。
複数拠点にまたがる業務をBPMツールで一元管理し、フローを標準化することで、全社的な業務効率化と品質向上を実現しました。

エンタープライズ企業におけるBPMツールの導入(格付システムの効率化)

【課題】

格付けの申請や評価コメントを手作業で行っており、業務負担が増大。

【解決策】

格付システムをローコードで開発。APIで情報を取得し、生成AIを使ったコメント作成機能と連携。

【成果】

30分かかっていた評価作成作業が1分に短縮。
短期間で業務効率化を実感することで、ビジネスプロセスを標準化する意識が向上しました。今後はBPMツールにより、将来的に他の業務へ拡張する予定です。

3つの事例に共通するのは、「まずは一部の業務から始めた」という点です。BPMの最終目的は全社管理ですが、小さく始めて少しずつ広げ、着実に成果を出すことができるのが強みです。
かつて流行したBPR(抜本的改革)は、すべてをゼロから変えようとして現場の混乱を招きました。BPMはその反省を活かし、「継続的に少しずつよくしていく」という現実的なアプローチで支持されています。最終的な目標が壮大であっても、スモールスタートできるため、取り入れやすいツールと言えるでしょう。BPMツール 導入は、段階的に進められることが成功の鍵です。

BPMツール導入に関するFAQコンテンツ

Q1. BPMツールは、どのようなもので、既存のERP環境に対してどのような役割を果たしますか?

BPM(ビジネスプロセス管理)ツールは、企業の業務プロセス全体を整理、統合、管理するための基盤となるソフトウエアです 。特に、既存のERPや基幹システムではカバーしきれていない周辺業務(データの加工、手作業、承認フローなど)を可視化し 、プロセスの実行、監視(モニタリング)、分析、改善のサイクルを継続的に回す機能を提供します 。BPMツール 導入により、ERPをハブとした全体最適化を実現し、業務効率化、属人化解消、生産性向上を目的として導入されます 。

Q2. BPMツールとワークフローシステム、あるいはRPAとの戦略的違いは何ですか?

ワークフローシステムが、主に申請・承認などの定型化された一連の手順(タスクの流れ)を電子化し、管理することに重点を置くのに対し、BPMツールは業務プロセスの設計(モデリング)、実行、リアルタイム監視、分析、最適化という、継続的な改善サイクル(PDCA)を回すことを目的とした全体的なマネジメント手法とその支援ツールを指します 。RPAは特定の作業の自動化に優れますが、BPMツールは複数のシステムやRPA、担当者をまたがる業務プロセス全体の統合管理と可視化を担う基盤です 。

Q3. BPMツールを導入する際、最初に取り組むべきステップは何ですか?

BPMツールを導入する最初のステップとして、基幹システムの「外」に存在し、属人化やExcel依存によってブラックボックス化している非効率的な業務プロセスを洗い出し、現状の業務の流れを正確に可視化することが最も重要です 。これにより、ボトルネックを特定し、BPMツールで管理する範囲(適用業務範囲)を明確に設定することが、導入効果を迅速に実現するために必要です 。

Q4. BPMツールの導入は、システムの内製化にどのように貢献しますか?

ローコード開発ツールをBPMツールと連携させて導入することで 、高度なIT知識が少ない担当者でも直感的な操作で業務アプリの作成やプロセスの変更が可能です。これにより、外部ベンダーに依頼することなく 、現場部門のニーズに合わせた業務のシステム化(内製化)を迅速に進められるようになります 。IT部門は、この内製化環境の提供とガバナンス(管理)に集中することが可能となり、全社的なDX推進力の向上と人材育成に貢献します。

Q5. BPMツールの選定時に、既存のITインフラとの連携で注意すべきポイントは何ですか?

BPMツールは、ERPやDWH、SaaSなど多数存在するシステムの「ハブ」となる重要な基盤です 。選定時は、基幹システムとのAPIやSQLなどのデータ連携機能がスムーズに実現できるか、その柔軟性と対応可能性を確認することが最も重要です 。また、海外製のツールの場合、複雑な日本企業の商習慣や業務プロセスに適合し、柔軟な拡張性を持つかどうかも注意点として確認が必要です 。

まとめ:足元のカオスから脱却し、真のDXへ

ここまでのポイントを整理しましょう。BPMツールは、企業が抱える複雑化・属人化という根深い課題を解決し、DX推進の強固な土台を築くために必要不可欠なサービスです。

•    DXの最大の障壁は、ERP周辺に残る業務の属人化・複雑化にある。
•    Excelやツールが乱立する現状において、BPMツールはすべての業務プロセスを集約する基盤となる。
•    BPMでは全体の業務プロセスが可視化できるため、全体最適の観点で業務を改善できるようになる。
•    BPMツールの選定には、適用業務範囲の広さや他システムとの柔軟な連携、使いやすさがポイントとなる。
•    小さく導入し、大きく育てるアプローチこそが、着実な成果を生む。
 

BPMツールは、「どこから始めて、どのように範囲を広げていくか」というロードマップを描く必要があります。DXの取り組みを通じて何を目指すのかによって、BPMで何を実装するかも変わります。
私たちSTech Iは、「バックオフィスDXソリューション」を通じて、経営から実務まで、DXを阻害するあらゆる課題の解決を支援しています。自社製品であるBPMソリューション「Natic BPM Suite」、ローコード開発「Natic Low Code」を始めとしたさまざまなソリューションを組み合わせ、アセスメントから導入、運用、定着までをエンドツーエンドで伴走します。
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