2022/5/12

クラウド時代にインフラSEと企業が備えるべきこととは?

昨年、日本政府のシステム基盤にAWSとGCPによるマルチクラウドが採用された事は大きなニュースとなりました。ユーザー企業においても、クラウドを前提としたシステム構築が増えており、データセンターの利用を縮小もしくは閉鎖する動きが増えています。そのような中で、従来のオンプレミスで構築していたSIer、インフラSEは変化を求められています。本ブログでは、クラウド時代に向けて企業やインフラSEが今から備えるべきことについてまとめてみました。

こんな人にオススメ!

クラウドエンジニア育成にお悩みのエンドユーザー企業
これからクラウドスキルを身につけたいインフラSE

1.クラウド化で変化を求められる企業、Sler、インフラSE

ユーザー企業やSIer

弊社社内システムでは、以前はオンプレミスのVDIや、データストレージとして共有フォルダを使用していましたが、2年前からクラウドのVDI、クラウドストレージを利用しており、オンプレミスのサーバーへアクセスする機会が大幅に減ってきました。このように、コロナ渦でオンプレミスからクラウドへ移行した企業は多いのではないでしょうか?調査会社のGartnerは「2025年までにデータセンターの8割が閉鎖する」と予測しています。最近お客様と会話する中で、「データセンターの9割を解約した」「完全に解約した」、などの話を耳にすることが増えてきており、データセンターの利用減少が進んでいる事を実感します。

(参照記事; Gartner「データセンターは死んでいる」

SIer(システムインテグレーター)も変化を迫られています。近年、オンプレミスのSI案件は減少しており、代わりにクラウドを提案するケースが増えてきました。SIerではクラウド人材の育成が急務となっており、NTTデータでは2022年からAWSと戦略的協業を開始し、AWS技術者を2025年までに5000人に増やすと発表しています。弊社でもクラウド人材育成の強化を行っています。近年では、CIer(クラウドインテグレーター)と呼ばれるクラウド専業業者の存在も目立つようになりました。

(参照記事; NTTデータ「AWSとクラウドを活用したデジタルビジネス推進に関する戦略的協業を開始」

インフラSE

ユーザー企業やSlerで働くインフラSEも、クラウドスキルを求められることが増えています。「ようやく仮想化(VMware等)が落ち着いたが、次はクラウド化か・・」、とため息を漏らしているオンプレミスのSEも多いかと思います。さらに、クラウドは事実上ほとんどがAWSですが、顧客のニーズは多様化しており、AWSだけでなく、Azure、GCP、仮想化、オンプレミスも含めた最適なシステム構成が求められています。

2.インフラSEはどのように備えるべきか

オンプレミスの知識や構築スキルを維持する

クラウド化が進むに伴い、オンプレミスの仕事は減少しています。しかし、オンプレミスは月額のコストが固定である、カスタマイズの自由度が高い、などのメリットもあります。保管するデータや利用するアプリケーションによってはオンプレミスの方が環境として適している場合もあります。オンプレミスとクラウドを組み合わせるハイブリッドな構成も増えており、移行段階において、旧来のオンプレミスの知識は必要です。クラウド化が進むとはいえ、引き続きオンプレミスの知識や構築スキルは維持しておくことが重要です。

コスパ良くクラウド知識を蓄える

当たり前のことですが、クラウドについて学習していくことは必須です。 海外と比較すると、日本のクラウド導入率は低く、日本でクラウドを知っているエンジニアはまだまだ少数です。少しの労力で差別化できるため、コストパフォーマンスが高い学習投資になります。最初のステップとして無償で学べるオンライン学習教材や各クラウド事業者が提供するトレーニング受講をお勧めします。筆者は学習の成果として複数の技術資格を取得しました。技術資格にもよりますが、資格試験も高額ではありませんので、対外的にアピールが可能な資格獲得を短期的な目標にしておくとよいと思います。

実践経験を積む

早く知識や経験を身につけるにはやはり実践が不可欠です。とは言え、様々なオンプレミスやクラウドを急にマスターして、顧客や自社へ提案・導入するのは、現実的に難しいかと思います。そのため、少しのクラウド知識でも構築や運用管理をサポートしてくれるテクノロジーやツールの利用も検討しましょう。クラウド導入の勘所を効率的に養うことが重要です。

3.企業はどのように備えるべきか

クラウドの必要性を認識する

経産省が発表したレポート「2025年の崖」によれば、日本企業が競争から取り残され、老朽化したシステムやセキュリティリスクの上昇などが指摘されました。今後、企業が競争力を高めていくためには、DXは不可欠であり、そのためにクラウドは重要な役割を担います。ただし、単純にクラウドを活用すれば良いというわけではなく、今自社に必要なインフラは何なのか、クラウドをどのように役立てて活用すればよいのかを考慮したうえで、クラウド上でのシステム構築を検討すべきです。

(参照記事; 経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

クラウドを進んで学べる環境を作る

今後はクラウドが主流になりますので、今の内に備えておくことが大切です。もし、外部業者へクラウドを委託する場合でも、基本的な知識とスキルは必要になります。まずは、社内SE向けのテスト環境や、Eラーニングなどの学習環境を提供します。クラウドは無料プランで気軽に始めることができるため、自社システムの一部をスモール構成でテストしてみることをお勧めします。 DeNAの南場氏は、AWS、GCPを導入したことにより外部からのSEヘッドハンティングが急増したと話しています。クラウド活用の場を用意しておくことは社内、社外双方に魅力的にうつるようです。

(参照記事; ASCII.jp「AWS Summit 2021基調講演レポート 経営と技術の両面でクラウド移行を語るDeNA南場会長の説得力」

内製化を意識する

クラウドの構築管理を全て外部へ委託すると多大なコストがかかってしまうため、できるだけ内製化を検討します。クラウドが普及するにつれて、SaaSサービスが増えたことは周知の事実ですが、SaaSは外部業者を介さずユーザー自身が直接利用できるところもメリットです。ZoomやTeamsなど、簡単な業務ツールに加えて、最近では、SD-WAN、SASE、クラウド間のネットワーク接続や運用管理を簡単にするインフラ構築ツール、など内製化を支援するソリューションも多く出回っています。自社で活用できるのか情報収集してみましょう。

まとめ

クラウド時代に備えよう

企業の競争力を保ったまま事業を継続していくためには、当然ながら、企業も社員も努力していく必要があり、自社の人材を育てていくことが重要になります。
しかし、時間をかけて育てる時間はあるでしょうか?
世の中のスピードは速いです。うまく人材戦略とテクノロジーやツールを併用するバランスも大事になります。そのような中で、ツールをうまく生かしながら、クラウド化を進められるソリューションがあります。

それがAlkiraです。主にネットワークサービスに特化したツールになりますが、これまでのオンプレミスのインフラ基盤をクラウド化していくために最適なツールであり、少しのクラウド知識で簡単にクラウドインフラの構築をユーザー自身で実現することが可能になります。

近年、Network as a Service(NaaS)のソリューションは注目されており、知っておくだけでも損にはなりません。ぜひ弊社のセミナー等へご参加下さい。