ケーススタディ
保険契約審査事務の完全ペーパーレス化を実現
(xStra BPM Suite導入事例)
損害保険ジャパン株式会社様
損保業界のリーディングカンパニーである損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)様は、バックオフィスでの保険契約審査事務のオペレーションを抜本的に見直し、書類受付以降のオペレーションをシステム上で完結させる完全ペーパーレス化を実現しました。
Before/After
課題/目的
- バックオフィスでの保険契約審査事務は紙書類での処理が数多く存在しており、効率化が妨げられていた
- 紙書類だと、地震などの大規模災害によりオフィスが使用不能になった場合、処理が行えずバックオフィス機能が停止してしまうリスクがあった
- 紙書類を取り扱うことから、一連の業務は限られた場所でしか行えず、業務担当者の柔軟な働き方が制約されていた
ビジネスプロセス管理イメージワークフロー(xStra BPM Suite)を導入
効果
- バックオフィスで処理する書類をすべてペーパーレス化したことで、業務全体の効率化を推進
- ペーパーレス化により場所にとらわれずにバックオフィスの業務を行うことが可能になったことで、大規模災害時の業務継続や柔軟な働き方にむけた仕組みを構築
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写真左から
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業務改革推進部 共通・収納グループ
主任 八頭司 由紀 氏 -
業務改革推進部 事務設計グループ
課長代理 山田 憲治 氏 -
業務改革推進部 共通・収納グループ
課長代理 西村 太祐 氏
- 企業名:
- 損害保険ジャパン株式会社様
- 所在地:
- 東京都新宿区西新宿1-26-1(本社)
- 設立:
- 1888年10月
- 従業員数:
- 22,537名(2022年12月現在)
- 事業内容:
- ・自動車保険や火災保険、傷害保険等の損害保険の引受
・上記に関する保険金支払
・資産運用をはじめとした各種事業
業務の効率化と有事の際の業務継続にむけた対応が課題
損保ジャパンの保険契約審査事務を担う子会社のSOMPOビジネスサービス(以下、BS)では、数十年もの間、事務処理のオペレーションを変えておらず、担当者が現地・現物ベースで処理を行っていた。「BSでは、年間300万件以上という大量の審査事務を行っていますが、紙書類を手作業で仕分けする工数に加え、システム化されていないため情報管理に時間がかかったり、処理後の紙書類を倉庫で物理的に保管する必要があったりするなど、全体的に非効率なのが課題でした。」と業務改革推進部 事務設計グループの山田氏は話す。
また、そのような折、2020年にコロナ禍で外出制限がかかり、オフィスにて審査事務を行うことができる人的リソースが減ったことで一時的に処理が追い付かなくなった経験もあり、抜本的にオペレーションを変革する必要性を痛感していたと説明する。
xStra BPM Suiteを選んだ理由
これらの課題を解決するため、以下3つをゴールにシステム導入を検討したという。
①一連の事務処理オペレーションをシステムによりペーパーレス化
②ペーパーレス化により場所に縛られない働き方を実現
③事務処理の業務効率化と生産性向上
「ペーパーレス化にあたっては、審査事務をPCで行えることや、業務担当者の進捗状況を一元管理できることから、BPMツールを導入する方向で検討していました。」(山田氏)
複数ベンダーの製品の中で、日商エレクトロニクス(現、双日テックイノベーション)の「xStra BPM Suite」を選定した理由は以下の5点。
①使いやすさ
直感的に操作がしやすいユーザーインターフェースのため、PC作業に慣れていない審査事務担当者でも使いやすい。
②処理性能
年間300万件以上の膨大な量の処理に対応できる性能がある。
③パッケージ製品
スクラッチに比べて開発期間が短縮できる。
④製販一体の製品
パッケージ製品を利用するので業務をシステムに合わせることが基本とはいえ、ときにはシステムを業務に合わせないと成り立たないケースがあり得ることが予想された。製販一体であれば開発元も課題認識を共有しやすく、プロジェクト上で重要な課題であれば製品仕様への反映を期待できる。
⑤導入実績
導入実績が豊富で、さらに金融機関の事例が多いため、安心して任せられる。
導入にあたって苦労したこと
「パッケージ製品のため、本来は製品の仕様に事務処理のオペレーションを合わせるのが前提であるものの、保険会社の事務処理は複雑な上に金融機関特有のルールにも準拠する必要があり、BPMツールを使ってどのように要件を実現していくかの検討に時間がかかりました。」と業務改革推進部 共通・収納グループの西村氏は振り返る。「システムの規模が大きかったことからステークホルダーが多く、複数部門から上がってくる要件整理のためのコミュニケーションも大変でした。」(西村氏)
さらに、開発期間においても、通常2年程度かかるプロジェクトを1年強で実施する必要があった。「要件定義、開発、テストなどの各工程を縮めましたが、システム構築や業務オペレーションに関する課題がプロジェクト期間中に100件以上発生し、中には非常にクリティカルなものもありました。短い開発期間の中で新たな要件を盛り込むには、関係者間の調整など苦労が多く、時には一つの機能を実現するために別の機能を諦めるなど、要件の取捨選択も必要でした。」(山田氏)
要件定義を進めるにあたり、スクラッチ開発だと画面イメージや操作の仕方などを確認することができないが、パッケージであればデモ環境でパッケージをベースとして確認できたため、ユーザーとなるBSが実際のオペレーションをイメージしやすかったのは大きなメリットだったと語る。
結果として、要件定義~本番移行までの総期間は1年4カ月を要し、2021年12月に本番運用を開始、以後順次拡大展開をし、2022年6月にシステムリリースを完了させた。
業務のシステム化によりBCP対策の一環に
xStra BPM Suiteの導入で、当初の目的であった業務のオペレーションのペーパーレス化を達成。これにより、オフィス以外の場所でも一連の事務処理をシステム上で行える環境が構築され、場所に縛られない働き方が可能になった。
この仕組みにより、BCPをより強固なものにできると山田氏は語る。「例えば地震などの大規模災害が起きてバックオフィスの1拠点が機能不全になったとしても、書類イメージをバックオフィス間でやりとりできるため、業務を止めることなく対応でき、お客さまにとって『安心安全』な支援を行う体制を構築できると考えています。」
日商エレクトロニクスへの評価
xStra BPM Suite をベースとしたシステムはリリースしたものの、まだシステムに搭載できていない業務などの課題が残っているため、日商エレクトロニクスとは密に連絡し合っているという。「要望したとおりに実現できない場合でも、『こういう代替策はいかがでしょう』といった提案があり、基本的にゼロ回答がないのはありがたいです。」(西村氏)
業務改革推進部 共通・収納グループの八頭司氏は、日商エレクトロニクスについての評価を次のように語る。
「システムの改修などにおいては、日商さんからはわかりやすい言葉や図付きで説明いただけたため、ITリテラシーが高くないメンバーにとっても理解がしやすく、課題認識や要件漏れの気づきにつながりました。」
「また、本業務は、契約書類を審査して証券を発行するまでの重要な処理を行っており、業務が止まってしまうとお客さまにご迷惑をかけてしまうため、トラブルが発生した際にはタイムリーに連携いただくとともに対応策案をご提示いただけるのは大変ありがたく、いつも助けられています。」(八頭司氏)
働き方改革にむけて
今回構築したシステムにより、目的としていた事務処理のペーパーレス化やBCPの強化が実現できた。「現在は事務担当者が新しいシステムのオペレーションに慣れていく段階ではありますが、業務が標準化されたこともあるので、中長期的には生産性向上につながり、また、昨今の働き方の多様化にむけた活用を期待しています。」(山田氏)」
写真左から
日商エレクトロニクス株式会社 アプリケーション開発部 二課 課長 岩並 孝至
日商エレクトロニクス株式会社 アプリケーション開発部 二課 課長補佐 小川 康祐
損害保険ジャパン株式会社 事務改革推進部 共通・収納グループ 主任 八頭司 由紀 様
損害保険ジャパン株式会社 業務改革推進部 事務設計グループ 課長代理 山田 憲治 様
損害保険ジャパン株式会社 業務改革推進部 共通・収納グループ 課長代理 西村 太佑 様
日商エレクトロニクス株式会社 アプリケーション営業部 一課 課長 落合 真人
日商エレクトロニクス株式会社 アプリケーション営業部 一課 課長補佐 友崎 奨也
※社名、所属部署名、役職名は、取材当時のものです。
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