エンジニアブログ ローカルブレイクアウトとは?求められる背景とメリットについて解説

クラウドサービスの利用増加に伴い、企業ネットワークのトラヒック量は爆発的に増加しており、社内ネットワークの見直しが急務の企業様も少なくありません。 ローカルブレイクアウトは、社内ネットワーク逼迫の解決策として、多くの企業様が検討、導入されている機能になります。
なぜ、クラウドサービスの利用増加によって社内ネットワークが逼迫するのか、どうしてローカルブレイクアウトが求められているのか、解説いたします。

1. ローカルブレイクアウトとは

ローカルブレイクアウト(Local Break Out:LBO)とは、特定のインターネット向けの通信(クラウドサービス等)に対して、 データセンターを経由することなく、拠点のインターネット回線から直接アクセスする機能になります。 各拠点から直接クラウドサービスにアクセスするため、通信速度や体感品質の向上が期待できます。

2. ローカルブレイクアウトが求められる背景とは

なぜ、拠点から直接インターネットにアクセスすることが重要なのでしょうか。
それは、企業ネットワークの主流がデータセンター集約型のネットワークであることが関係しています。
データセンター集約型のネットワークは、データセンター内に社内システムを配置し、拠点からデータセンターにアクセスするネットワークになります。 また、拠点からインターネットへの通信もデータセンターを経由して行います。
このデータセンター集約型のネットワークですが、昨今のクラウドサービスの利用増加に伴い、通信速度や体感品質の低下の声をよく耳にします。
データセンター集約型のネットワークは、社内システムがデータセンター内にあることを前提に、データセンターのインターネット回線帯域やセキュリティ機器を導入しています。 そのため、現在のインターネット向け通信の爆発的な増加によって、データセンターの回線/セキュリティ機器の帯域/セッション数が限界に達し、通信速度や体感品質の低下を招いています。
総務省から発表されている「 我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算(2021年11月集計値) 」においても、固定系ブロードバンドサービス契約者のダウンロードトラヒックが2020年11月と比べて19.3%増加、アップロードトラヒックが18.7%増加したという結果の通り、今後もインターネット通信は爆発的な増加をしていくと考えられます。
このことからローカルブレイクアウトを導入することで、データセンター設備のひっ迫解消(通信速度や体感品質の向上)が期待できるため、多くの企業様で検討されています。

3. ローカルブレイクアウトの仕組み

ローカルブレイクアウトでは、特定の通信を拠点のインターネット回線から直接アクセスできるようにしますが、
通信の識別手法として、5tupleやDPI(Deep Packet Inspection)、FQDNがございます。
各識別手法でメリット/デメリットが異なるため、サービスごとに使い分けることをおすすめいたします。

4. ローカルブレイクアウトを使用する際の注意点

データセンター集約型のネットワークでは、インターネット向けの通信は全てデータセンターを経由するため、データセンターのセキュリティ機器で一元的なセキュリティポリシーの提供が可能でした。
しかし、ローカルブレイクアウトでは、データセンターに配備しているセキュリティ機器を経由せず、各拠点から直接インターネットにアクセスすることから、 セキュリティリスクの上昇や、一元的なセキュリティポリシーをデータセンターと拠点に提供できないといった注意点があります。

5. ローカルブレイクアウトをより安全に使用するには

ローカルブレイクアウトの注意点の対応策として、ローカルブレイクアウトは信頼できるサービス(Microsoft 365等)のみ実施し、 他のインターネット向けの通信はデータセンターを経由してセキュリティ機器を通すといった対応策もありますが、 より安全にローカルブレイクアウトを使用する手法として、クラウドプロキシの導入が挙げられます。
各拠点からローカルブレイクアウトする通信をクラウドプロキシに経由させることで、データセンターと拠点に対し、一元的なセキュリティポリシーを提供できます。 これにより、SASE(Secure Access Service Edge)を実現いたします。
SASEについては、「 SASEとは?求められる背景、実現するネットワーク構成」の記事をご覧ください。

6. 最後に

本記事では、ローカルブレイクアウトとは何か、求められる背景など、ローカルブレイクアウトの有用性について解説いたしました。
総務省の調査にもあったように、今後もますますのインターネットトラヒックの増加が見込まれており、データセンターのインターネット回線やセキュリティ機器の逼迫がより顕著になっていくと予想されます。
ローカルブレイクアウトを導入し、クラウドサービス利用に最適化した社内ネットワークをご検討されてみてはいかがでしょうか。
日商エレクトロニクスでは、ローカルブレイクアウト機能を有するCisco SD-WAN、クラウドプロキシのCisco Umbrellaを取り扱っており、
Cisco SASEによる社内ネットワーク最適化のご支援を実施しております。
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