
2017年11月 8日
ついに日本上陸した HCI の二大巨頭「HPE SimpliVity」 ~ 実用性を考え抜いて目指した世界(2)
ついに日本上陸した、Nutanixと並ぶHCI二大勢力「SimpliVity」。SimpliVity派が他に浮気しない理由は何でしょう?
HPEのエバンジェリストが、SimpliVityの開発コンセプトとユーザーが惚れ込むポイントを解説します。
前回は、私個人とHPEという2つの視点から、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(HCI)のマーケット動向を洞察してみました。今回は、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が買収した「HPE SimpliVity」について、製品開発の裏側にあるコンセプトとその効果・実用性をご紹介したいと思います。
あ、製品開発といっても、小難しい話をするつもりはありませんので気軽にお読みください。
SimpliVity の目指したもの
日本では聞き慣れないSimpliVityですが、欧米ではNutanixと人気を二分する、高性能・多機能、かつ優秀なHCI製品です。なぜ「優秀」かを伝えるために、開発コンセプトをご紹介しましょう。
みなさん、ボーリングの球ってどれくらいの球速かご存じでしょうか?
おおよそ30~50km/hくらいだそうです。野球ボールは剛腕で150km/h。テニスボールは200km/h。ゴルフボールは300km/hらしいです。球が小さく・軽くなると速度が上がり、より速く届きます。
SimpliVityの開発エンジニアはここに目を付けました。データを小さく・軽くすれば、相手側にもより早く届くし、軽いのでデータの可搬性(持ち運び)にも優れる。バックアップも一瞬で終わるし、BCP/DR のための拠点間回線も細い帯域で済み、コスト削減できる。データを小さくすることができれば世界が変わる。従来不可能だったことが可能になる―――。良いことだらけです。
今回は詳しくお話しませんが、HPE SimpliVityはFPGAベースの「専用ストレージプロセッサ」、SSDの100倍速い「インメモリ技術」といった、先進のハードウェア技術を用いることで、完全なインライン重複排除・圧縮技術をHCIで実現しています。仮想マシンから送られてきたデータは、ストレージの入り口でコンパクトにされるため、単純なデータの読み書きからバックアップ・BCP/DRに至るまで、すべてのI/O操作を超高速に行えるのです。
このメリットを説明するために「バックアップ」を例に挙げてみましょう。HPE SimpliVityにはこの先進的なストレージアーキテクチャをフル活かせるバックアップソフトが標準搭載されており、筐体内バックアップであれば、データ量に関係なくバックアップやリストアを一瞬で完了します。業務性能やストレージ性能も全く落ちませんので、昼間の業務時間中に実施いただいても全く構いません。極端な話、10分単位にバックアップをスケジューリングしたって大丈夫。システム全体で合計250,000個のバックアップを保持しますので、仮想マシンが1,000台あっても250個ずつ保管できます。
「10分単位のスケジューリングバックアップ」なんて馬鹿げた話に聞こえたかもしれません。しかし、これはRPO(いつの時点に復旧できるか?)に直結します。業務影響を気にして毎日夜間に取るという、20年以上変わらないバックアップ運用だとRPOは前日夜。つまりリストアされるデータは前日夜のものまでロールバックされてしまいます。これに対してSimpliVityは10分前に戻せるのです。データを紛失して冷や汗をかいているユーザーにとっては感動モノと言えるでしょう。しかも、リストア処理もバックアップ同様に「一瞬」です。つまり、RTO(戻すまでにどれくらい時間を要するか?)はゼロ、容量によらず1分未満で完了します。
管理者だけではなく、ユーザーも嬉しいインフラを。
この超高速・無負荷バックアップは、管理者だけでなくユーザーにも大きなメリットがあります。HCIを早期から検討しているテクノロジー好きな方はおそらく仮想デスクトップ(VDI)も導入したり検討したことがあるのではないでしょうか。VDI環境のバックアップってどのようにされていますか?
おそらくほとんどの企業がマイドキュメントやプロファイルなどの「個人データ」だけをバックアップして済ませているかと思います。VDIのバックアップは結構大変ですので、実施しない企業もあるほど。データだけでもバックアップができているのであれば、本来はIT管理者を労うべきです。
しかしながら、実はユーザーからは、管理者が思っているほど感謝されていないかもしれません。なぜなら、仮想PCがおかしくなってしまった場合、会社共通のOSと最低限のアプリしか戻らないからです。データ復旧ではなく、社員が普段の業務スピードを取り戻すには、自分が常用しているアプリやツール、設定、ツールバーの並びやデスクトップのアイコン配列まで元に戻る必要があります。管理者が「復旧した」と言っても、ユーザーに取ってみれば「まだ復旧していない」んです。
SimpliVityであれば、VDI環境のすべての仮想PCをOS丸ごとイメージバックアップできます。前述のとおり250,000個バックアップできますので、数千ユーザーの規模でも問題ありません。しかも、前述のとおり10分や30分単位でバックアップ可能。故障したの仮想PCを「ギリギリ直前」の状態へ"丸ごと""一瞬"で復旧することができるわけです。まさに元通り。
送られてくるすべてのデータを小さく・構造解析しておく―――。
たったこれだけのことなのですが、従来のHCIはもちろんのこと、3-Tier構成(サーバー & SANストレージ)と比べても転送速度・所要時間・業務影響の点で画期的に変わります。これ"変革"は管理者の実用性だけでなく、ユーザーまでも幸せにできるという点にぜひ興味をもっていただけらたら幸いです。
今回はSimpliVityの開発コンセプトを中心にご紹介しました。これだけでも十分画期的かつ実用的ですが、豊富なSimpliVityの機能のほんの一片に過ぎません。機会があればその他の機能についてもご紹介していきたいと思います。
今回はSimpliVityの開発コンセプトを中心にご紹介しました。これだけでも十分画期的かつ実用的ですが、豊富なSimpliVityの機能のほんの一片に過ぎません。
HPEが買収してまだ8か月といったところですが、先行導入した欧米諸国でのビジネスが好調なこともあり、HPE SimpliVityは直近で更なる機能強化と大幅なラインナップ拡大が予定されています。またその際にでも、その他の機能・新機能についてご紹介できれば幸いです。
資料ダウンロード
HPE SimpliVity に標準搭載された 優れたバックアップ機能

今回の記事でご紹介したような、HPE SimpliVityに標準搭載の画期的なバックアップ機能についての技術解説資料です(日本語)。
資料ダウンロードはこちら >