Nutanixの仮想基盤構築に必要なライセンスとは?

2025年7月14日

Nutanixの仮想基盤構築に必要な
ライセンスとは?

VMwareのライセンス価格見直しを受けて、VMwareから他の仮想構築基盤への移行をご検討される企業も増えています。VMwareによる仮想化基盤のリプレイス先として有力なのはNutanixです。
今回は、Nutanixのライセンス体系や各ライセンスの機能、コスト感などについてご紹介します。以下のような方におすすめの記事となっておりますので、ぜひご覧ください。

  • VMwareの次の手としてNutanixの導入をご検討中
  • Nutanixで仮想基盤を構築するのに必要なライセンスの詳細を知りたい
  • VMwareで利用していた機能はNutanixだと何に置き換わるのか知りたい

Nutanixライセンスの全体像

Nutanixのライセンス体系はシンプルです。
まず、Nutanix上に仮想マシンを構築して仮想基盤として利用するほとんどのケースではNCIライセンスと呼ばれる基本ライセンスが必要となります。 NCIライセンスではカバーしきれないより高度な機能を利用したい場合、以下のオプションライセンスを購入することとなります。

・運用・管理機能を拡充する「NCM:クラウドマネージャー」
・ファイルサーバー向けの「NUS:ユニファイドストレージ」
・DBaaS向けの「NDB:データベースサービス」

たとえば、以下のようなライセンスの組み合わせ例が考えられます。
・基本構成:NCIのみ
・高度な運用機能を追加するケース:NCI+NCM
・統合ストレージ機能を追加するケース:NCI+NUS
・データ管理の最適化まで行うケース:NCI+NDB

なお、Nutanixの基本から知りたい方は、以下の「Nutanixはじめてガイド」をおすすめします。ぜひ併せてご覧ください。
Nutanixはじめてガイド

Nutanixの基本ライセンス「NCI」でできること

Nutanixの基本ライセンスであるNCIでは、Nutanixの技術基盤となるOS「Nutanix AOS※1」やハイパーバイザーである「Nutanix AHV※2」の利用が可能となります。

※1 ハイパーバイザーであるAHVや管理コンソールであるPrismなどが動作する基盤となる、Nutanixの基本ソフトウェア
※2 Linux KVMをベースにNutanixがカスタマイズして構築した、エンタープライズユーザーが求める使い勝手とI/Oパフォーマンスの向上が追求されたハイパーバイザー

NCIに含まれる各機能の特徴

NCIライセンスに含まれる主な機能は以下のとおりです。ファイル管理からセキュリティ、運用管理まで、基盤構築にあたって必要となる一連の機能を利用できます。

機能名 概要
AOSストレージ Nutanixのコアとなる分散型ファイルシステムによるデータ管理
Nutanix Kubernetes Engine コンテナ管理ツールKubernetesをNutanix上で利用
Nutanix Disaster Recovery 容易にDRを実現することができるサービス
Flow ネットワーク セキュリティ 様々な自動化機能を含め、多重防御基盤を提供
Nutanix Cloud Clusters (NC2) ハイブリッドクラウド・マルチクラウド環境の運用管理を効率化
Nutanix DRaaS クラウド型でレプリケーション、DRを実現するサービス
Prism(管理GUI) Nutanixのあらゆる機能を管理できるGUIコンソール

3つのエディションの選び方

NCIライセンスは以下の3つのエディションから選択できます。

概要 主な用途
Starter 基本機能を備えたエントリーモデル オンプレミス環境上にて、限定的なワークロードで小規模な環境を構築する場合
Pro 本格的な仮想基盤運用向け オンプレミスまたはパブリッククラウド環境にて、複数のアプリケーションや大規模なワークロードを扱う環境を構築したい場合
Ultimate 高度なセキュリティやDR機能を備えた最上位モデル オンプレミスまたはパブリッククラウドにて、マルチサイト展開および高度なセキュリティ要件を満たす基盤を構築したい場合

エディションを選ぶ際には、利用したい機能のレベル感と必要な運用管理機能の有無により比較を行いましょう。各エディションで利用できる主な機能は以下のとおりです。

STARTER PRO ULTIMATE
最大クラスターサイズ 12 12以上可能 12以上可能
VM中心のスナップショットとクローン ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
データ階層化 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
オンラインでのクラスター拡張/縮小 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
クラウドストレージの利用(Amazon EBS) ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
非同期レプリケーション (RPO=1時間以上) ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
セルフサービスリストア ⚪︎ ⚪︎
マルチサイトDR ⚪︎ ⚪︎
Metro Availabilityの利用 オプション ⚪︎
同期レプリケーション (RPO=0) オプション ⚪︎
NearSyncレプリケーション (RPO=1〜15分) オプション ⚪︎
クライアント認証 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
クラスタロックダウン ⚪︎ ⚪︎
データの暗号化などの制御 (ソフトウェアベースおよびSED) オプション ⚪︎
Nutanix AHV ハイパーバイザー ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
Credential Guard ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
vGPUおよびGPUパススルー ⚪︎ ⚪︎
高可用性 (HA) 保証フェイルオーバー ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
クラスター間のライブマイグレーション オプション ⚪︎
マイクロセグメンテーション オプション ⚪︎
Prism Centralによるマルチクラスタ管理 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎

※参考:Nutanix クラウドプラットフォームソフトウェアオプション

なお、NCIライセンスにNDBライセンスを追加したい場合、最低でもProエディションを選択する必要があります。NUSライセンスの追加にはエディションの制限はありません。

Nutanixのオプションライセンスについて

NCIライセンスに加えて、以下のオプションライセンスを追加することもできます。

ラインセス名 主な用途
NCM(クラウドマネージャー) Nutanixの運用・管理機能を拡充する
NUS(ユニファイドストレージ) ファイルサーバー、ストレージを構築する
NDB(データベースサービス) DBaaS(サービスとしてのデータサービス)を構築する
Nutanix Kubernetes Platform Nutanix上でKubernetesを動作させる
Nutanix Enterprise AI 生成AIモデルの提供を行う
NCI-VDI VDI(仮想デスクトップ環境)を構築する
NCI-Edge 小規模なエッジコンピューティング向けサーバーを構築する

NCMライセンスでは、運用管理ツール「Prism」の機能を強化し、レポーティングやダッシュボード、AIOps機能、コストガバナンス機能などを利用できるようになります。 また、NUSライセンスでは、Nutanix上でバックアップ基盤やアーカイブシステムを構築できます。さらにセキュリティアドオンを利用することで、データの暗号化やセグメンテーションの強化も可能です。
NDBライセンスではDBaaSの構築が可能となります。SQL ServerやOracle、PostgreSQL、MySQL、MongoDBなど各種データベースに対応しており、データベース管理を簡略化できます。

Nutanixライセンス課金の仕組みは?

Nutanixの各ライセンスの課金方法は以下のとおりです。

ライセンス名 ライセンスのカウント方法
NCI 物理CPUコアの数
NCM(クラウドマネージャー) 物理CPUコアの数
NUS(ユニファイドストレージ) 利用可能な容量(TiB)
NDB(データベースサービス) 物理CPUコアの数
Nutanix Kubernetes Platform ベアメタルで実行する場合は物理CPUコア数
VM(パブリッククラウドを含む)で実行する場合は環境内のvCPU数
Nutanix Enterprise AI 物理CPUコア数もしくはvCPU数
※バンドルにより異なる
NCI-VDI 最大接続数
NCI-Edge 起動させるVMの数

NCIライセンスは基本的に物理コア数単位の課金となります。たとえば、32CoreのCPUを1台搭載した物理ノードを、3ノード利用したクラスターに対してNCIライセンスを適用する場合、32Core × 3ノード=96Core分のNCIライセンスが必要です。

VMwareをNutanix NCIライセンスに置き換えるとどうなる?

現在利用しているVMwareからNutanixへ移行する場合、Nutanix NCIライセンスで多くの機能がカバーされます。
下表のとおり、NSXやESXiなどの主要なVMwareの機能はNCIライセンスにて対応可能です。NutanixではVMwareと同等のソリューションを用意しているのでVMwareからの乗り換えも安心して行えます。

機能 VMware製品 Nutanix製品
マイクロセグメンテーション VMware NSX Nutanix NCI
マイクロセグメンテーション VMware NSX
アプリケーションファイアウォール VMware NSX
高度なレプリケーションとDR VMware Site Recovery Manager
Kubernetes VMware Tanzu Kubernetes Grid
ストレージオペレーティングシステム VMware vSAN
ハイパーバイザー VMware ESXi

より詳しくVMwareとNutanixの違いを知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
※関連記事:VMwareとNutanixを徹底比較!

Nutanix 導入における参考価格

以下では一例として、現在VMware ESXi上で180台の仮想マシンを稼働させている場合に、Nutanixに移行する際の参考価格をご紹介します。
筐体としてHPE-DX380 Gen11を利用し、3ノードでNutanixを動作させる場合、ハードウェアとして約1200万円、構築・移行費用として約800万円となります。また、5年間の24/365のHW保守に約90万/月×60か月の費用が必要です。
本価格はあくまで通常価格ですので、詳細については当社までお問い合わせください。

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無償でNutanixを検証してみたい方へ

今回は、Nutanixの仮想基盤構築に必要なライセンスについて詳しくご紹介しました。Nutanixにご興味のある方は、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。
当社、双日テックイノベーションではNutanix検証環境の無償貸し出しも行っております。先着順となりますので、Nutanixにご興味があればお早めにご相談ください。
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