テクノロジー
エンタープライズITの運用管理をシンプルにするハイパーコンバージドインフラ(Hyper-Converged Infrastructure、以下「HCI」)に注目が集まっています。2000年代後半に登場したHCIですが、昨今、さらに新たな進化を遂げています。ここでは、HPE SimpliVityが搭載する最新のテクノロジーについて紹介します。
すべてを統合するシンプルなインフラストラクチャ
従来型の仮想化の構成は、サーバーとストレージとSANスイッチ、さらにはバックアップ装置など多様な機器を組み合わせる複雑なものでした。しかし、この構成の欠点としては、サーバーとストレージ間のネットワークI/Oにボトルネックが生じることが挙げられます。導入時にはそれぞれの最適な組み合わせを検討したり、運用の際には個別に管理が必要となったりするなど、担当者に大きな負担を強いるものでした。
このような課題を解決するために、サーバー、ストレージ、SANスイッチなどを最適な組み合わせとして提供したのが「コンバージド」インフラでした(Converged 1.0)。しかし、ネットワークI/Oにボトルネックが生じる問題は残されていました。
そこで登場したのが、HCI(Converged 2.0)です。サーバー、ストレージ、SANスイッチが一体化したことでネットワークI/Oの問題を解決できるようになり、運用負担を軽減し、TCO削減に貢献するものとして大いに注目を集めました。
そして現在、新たにConverged 3.0として位置付けられるのが、HPE Simplivityです。ストレージ高速化、バックアップ、WAN高速化などユーザーのニーズに応える機能を標準搭載しています。「サーバー+ストレージ」の時代から、機器は10分の1に削減可能になりました。
HPE SimpliVity の基本アーキテクチャー
HPE SimpliVityは一般的なHCIと異なります。一般的なHCIには搭載していない、Hardware Acceleration Card(ハードウェアアクセラレーター)、Hardware RAID Controller(RAIDコントローラー)を搭載しています。アクセラレーターと RAID コントローラーがストレージ処理を担うため、安定性が向上し、VMも多く収容できるようになりました。
SimpliVityのハードウェアアクセラレーターの特長
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特長1:「超高精度」 かつ 「確実」 なストレージ処理
- 一般的に 256 ~ 8,192KB 単位で計算される重複排除や圧縮処理を最大 1,000 倍の精度で実施 (8KB 単位)
- Tier1 領域でも、平均 60-70% のデータ削減効果を実現します
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特長2:ハードウェアオフロード
- 重複排除やデータ圧縮をリアルタイム (インライン) で行ってもゼロ・オーバーヘッド かつ I/O 無劣化
- これらを 常時オン にしても CPU パワーや RAM を奪いません
- 8GB NVRAM キャッシュ + スーパーキャパシター を搭載
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特長3:FPGA 実装
- ハードウェアコーディングにかかわらず、機能アップデート が可能
- 将来、新しい機能やアルゴリズムを強化できます
柔軟かつオープンな Web スケールIT
HPE SimpliVityは、拡張しやすく、データを分散保存することで障害にも強い、WebスケールITを実現しています。そしてさらに、バックアップやBCP/DR環境として、既存環境からのストレージ利用にも適した機能を搭載しています。
(1) スケールアウト しやすい
HPEの最小構成は2ノード(2台)から。ノードを増設することで容易にスケールアウトできます。すべての構成はソフトウェアで統合管理されているので、VMの移動も自由に行えます。
(2) スケールイン(ノード切り離し)しやすい
ノードを増設しやすいのと同様、切り離しも容易に行えます。切り離すノード上のVMやデータはほかのノードに自由に移動させることができるので、データを失うことはありません。
(3) バックアップ、BCP/DRに活用できる
別の環境にSimpliVityを用意することで、バックアップやBCP/DRに活用できます。バックアップデータは重複排除されるので、高い容量削減効果を得られます。
(4) 既存環境からのストレージ利用
既存のサーバー+ストレージ型の環境から、SimpliVityを利用することができます。異なる環境でもオープンかつ柔軟に連携することができます。