ケーススタディ OTTの可視化も実現するSightlineでピアリングやキャッシュ施策を向上
株式会社倉敷ケーブルテレビ様
TOKAIケーブルネットワークのグループ企業で、岡山県の倉敷市に本社がある倉敷ケーブルテレビは、顧客に安定したサービスを提供するため、日々設備の見直しに取り組んでいる。顧客環境が変化する中、同社はヒアリング分析による上位回線費用の最適化やキャッシュサーバーの効果最大化を目的としてトラフィックの可視化の強化を決断。採用されたのがNETSCOUT社製のフローコレクター「Sightline」だった。
Before/After
課題/目的
- 自社網内に設置したキャッシュサーバーのトラフィックを可視化したい
- 顧客の利用動向を的確に捉えたサービス品質の向上
- 上位回線費用の最適化
日商エレクトロニクスの支援により、NETSCOUT社製「Sightline」を導入
効果
- Sightlineの導入で使いやすく高度なトラフィックの可視化を実現
- 他社ではできないOTTアプリケーションの可視化も可能に
- コロナ禍で在宅時間が長くなったことによるトラフィックの増加にも対応
- 企業名:
- 株式会社倉敷ケーブルテレビ様
- 所在地:
- 岡山県倉敷市中島2661-1
- 設立:
- 1984年6月7日
- 従業員数:
- 86名(2021年2月1日時点)
- 事業内容:
- 岡山県倉敷市、総社市、玉野市を中心に有線テレビ放送事業や電気通信事業を営む。地域に根ざした放送でまちづくりを全面的に支援している。
IXの有効活用や情報提供のためトラフィックの可視化を目指す
倉敷ケーブルテレビは、岡山県倉敷市、総社市、玉野市を中心にケーブルテレビやインターネットサービス、電話サービスを提供している。ケーブルテレビサービスのユーザー数は約9万世帯、その中で約3万3,000世帯(2021年2月現在)がインターネットサービスを利用中だ。地域に根ざした真心をこめたサービス提供を基本理念としている倉敷ケーブルテレビは、現在はTOKAIケーブルネットワークグループの一員として、サービス提供の拡大や品質の高水準化に努めている。
倉敷ケーブルテレビで、テレビからインターネット設備、サーバーの維持管理などサービス提供基盤の運用管理を担っている同社 技術部 基盤技術課 米田泰介氏は、顧客へのサービス提供で心がけている点をこう説明する。「ケーブルテレビやインターネットを利用されるお客さまに対しては、安定した回線品質や通信速度で利用できるサービスの提供が第一です。そのために常にサービスの品質向上に注力しています」
動画サービスやオンラインゲームの増加など顧客環境が変化する中、上位回線としてトランジットだけを利用していた倉敷ケーブルテレビの状況にも変化が生じた。IXの活用を検討したり、アカマイなどCDN事業者のキャッシュサーバーを自社網内に設置したりするようになったのだ。同社 技術部 基盤技術課 小林万希也氏はその理由を次のように話す。「お客さまの利用動向を的確に捉えたサービス品質の向上と上位回線費用の最適化が課題としてありました。トランジットだけではなくIXを利用できるようになれば、上位回線費用を低減しつつ、中継地の削減で通信品質も高まります。当社は岡山県内の他の事業者に対して、インターネット接続を中継する役割も担っていますが、その際にトラフィックの内容も提示できるようにしたいと考えていました」
倉敷ケーブルテレビは、自社網内に設置したキャッシュサーバーを地域のケーブルテレビ事業者と共同利用しており、そのトラフィック内容についても提示したいという意向を持っていた。
これらの課題を解決するため、同社はトラフィックを詳細に可視化できる製品の選定を開始した。
OTTアプリケーションの分析とリーズナブルな価格が決め手に
トラフィックの可視化製品の候補として挙がったのは、NETSCOUT社製のフローコレクター「Sightline」だった。「業界動向などについて他のケーブルテレビ事業者と情報交換する機会があるのですが、その際に何度かSightlineが紹介されました。そのため、『使いやすく高度なトラフィックの可視化=Sightline』というイメージがあったのです」(米田氏)
Sightlineは、DDoS攻撃の検知にも強みを持つフローコレクターだ。NetFlowなどのフロー情報をルーターから収集してレポートを作成する。そのレポートを見れば、トラフィックの詳細な流れが把握でき、ピアリング戦略などの立案も容易になる。さらに、「AIF for Sightline」というライセンスを利用すれば、動画サービスやゲーム、Web会議ツールなど個々のOTTアプリケーションのトラフィックも可視化できる。
「これまでもフロー分析用の製品は導入していたのですが、把握できるのはHTTPやTCPポートの利用状況までで、通信の具体的な中身までは分かりませんでした。それに対してSightlineはOTTアプリケーションの可視化まで実現できるということだったので、非常に有用だと判断したのです」(小林氏)
そこで倉敷ケーブルテレビは昨年春、Sightlineを提供している日商エレクトロニクスから検証機を借りて検証を開始した。「使いやすさを重点的にチェックしました。実際、Sightlineには必要なレポートのテンプレートが用意されていたこともあり、レポートの作成につまずくことはありませんでした。日商エレクトロニクスの担当者が逐次使い方の提案からサポートまで親身にしてくれたのも有益でした」(米田氏)
検証期間中にはOTTアプリケーションの可視化機能の力も発揮された。「コロナによる最初の緊急事態宣言以降、外出自粛やテレワークの実施によってトラフィックが劇的に増加しました。その際、動画サービスやWeb会議ツールなど具体的にどのようなサービスが利用されているかが、個々のアプリケーションレベルで見やすく分析できたのです」(小林氏)
こうして検証を終えた倉敷ケーブルテレビはそのままSightlineとAIF for Sightlineのライセンスの導入を決め、昨年秋から本格稼働させている。「トラフィックの詳細な可視化が可能でさらにDDoS攻撃の検知も行えるSightlineは、その導入効果に対して価格が非常にリーズナブルでした。」(米田氏)
サービス品質の向上に手応え
Sightlineを採用した倉敷ケーブルテレビは、OTTアプリケーションの可視化で得られた情報をもとに具体的な対策も実施し、大きな手応えを感じている。「先述した通り、外出自粛やテレワークなどが増えたことで、トラフィックの傾向に大きな変化がありました。実際にSightlineで可視化してみると、Netflixの利用などが非常に増えていることが判明したのです。そこで、Netflix社と交渉してキャッシュサーバーを当社のデータセンターに配置しました。これによってお客さまに対して動画の快適な視聴環境を確保できたことに加えて、上位回線費用の削減も実現したのです」(小林氏)
トラフィックを中継している県内のケーブルテレビ事業者に対しては、Sightlineの分析情報をもとにトラフィック調整のアドバイスができるようになったという。また、法人顧客からWeb会議ツールの品質が良くないと相談を受け、Sightlineで分析をしたところ 想定以上のWeb会議ツールのトラフィックが流入していることが判明し、回線分割による最適化を提案することができた。DDoS攻撃の検知については、アラートを発するしきい値などが細かく設定でき、攻撃の検知後に自動的に対策に移行させられるようにしたことで管理者の運用負荷が減った。
さらなる製品連携にも期待
今後はオンラインゲームの利用などによる突発的なトラフィック増加が課題になりそうだと米田氏は想定する。そこで倉敷ケーブルテレビでは、導入したSightlineとNETSCOUT社が提供するキャプチャ製品「ISNG」との組み合わせ利用も検討中だ。「AIF for Sightlineで可視化できるOTTアプリケーションは120種類ほど(2021年3月現在)ですが、ISNGによりDNSパケットをキャプチャし、Sightlineと連携させることですべてのOTTアプリケーションの特定が可能となります。ゲームトラフィックの詳細が従来以上に分かるようになれば、さらに柔軟な対応が可能になるでしょう。また、環境整備が進んでいるGIGAスクール構想によって小中学校のインターネットサービス需要の変化も見込まれます。そうした案件に対しても、詳細な分析をもとに適切な対応や新たなサービスの提案ができそうです」(小林氏)
Sightlineを倉敷ケーブルテレビに提供した日商エレクトロニクスでは、Sanky Chartによってさらに分かりやすいレポートを作成できる「Sightline Insight」との連携や、Sightlineとの併用でDDoS攻撃をミティゲーションできる「TMS」などの提案で、倉敷ケーブルテレビのネットワーク運用を支えていくという。
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