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ケーススタディ 人員最適化・管理負担軽減。両備システムズのBPO事業を進化させるNatic e-Entry Express+

株式会社両備システムズ

公共分野から民間企業まで、幅広い業界と業種に情報サービスを提供してきた株式会社両備システムズは、双日テックイノベーションの統合データエントリーシステム「Natic e-Entry Express+」を採用。連想入力チームとPC入力チームの環境を一つの入力基盤上に構築することで業務の可視化と効率化、人的リソースの多様化への対応などを実現しました。

Before/After

課題/目的

・連想入力チームとPC入力チームの業務負荷の不均衡を解消し、一元管理したい
・AI-OCRを汎用的に活用するにあたり、独自に取り込むためのプログラムを都度作成する負荷をなくしたい
・OpenIDESのサポート終了後も、プロのキーパンチャーが活躍できる場を確保したい

Natic e-Entry Express+を導入

効果

・連想入力とPC入力が一つのシステムで運用可能になり、一元管理することで業務の効率化と業務の不均衡を解消し、人的リソースの多様化を実現
・案件に合わせて自由に設計することでAI-OCRを汎用的に活用
・プロパンチャーの経験値と高品質を引き続き活用

  • (写真左より)インフラビジネスカンパニー BPO事業部 BPOサービス部
    BPOセンター第2グループ グループ長  香川 直樹 氏
  • BPOセンター第2グループ スペシャリスト  藤井 隆宏 氏
  • BPOセンター第2グループ  藤縄 真由美 氏
  • BPOセンター第1グループ グループ長  井本 佳佑 氏
企業名:
株式会社両備システムズ
所在地:
岡山県岡山市北区下石井二丁目10番12号 杜の街グレース オフィススクエア4階
設立:
1969年12月15日
従業員数:
1,654名(2025年4月1日現在)
URL:
https://www.ryobi.co.jp/ ターゲットブランクアイコン
事業内容:
公共、医療、社会保障分野および民間企業向け情報サービスの提供 (システム構築、アウトソーシング事業)、ソフトウエア開発、データセンター事業、ネットワーク構築サービス、セキュリティ事業、ハードウエア販売および保守サービス、AI・IoTなど先端技術研究開発

ICTの力で、BPOを持続的に成長させる

両備システムズは、岡山県を中心に公共交通や不動産など多角的な事業を展開する両備グループに所属し、岡山と東京に本社を構え、公共分野(官公庁・自治体・医療)・民間企業(製造、流通、運輸、交通など)に向けて、多岐にわたるソリューションを全国で展開している。

同社が注力している事業の一つに、データエントリーをはじめとするBPO事業がある。自社データセンターやクラウド基盤を活用するBPOは、多くのパートナー企業の円滑なビジネス推進に貢献している。

そのBPO事業部が取り組んでいる課題として、今回導入責任者を担ったBPOセンター第1グループ グループ長の井本佳佑氏は、「ICTを活用した生産性向上」と「新サービスの提供・新業務領域への挑戦」を挙げる。

「労働人口が減少していく中、ICTを用いてBPOを持続的に成長させることが最重要課題です。しかしこれは技術だけで解決できる問題ではありません。人の持つ力と技術の力のバランスを取りながら取り組んでいます」

BPOセンター第1グループ グループ長 井本 佳佑 氏

データエントリーの運用を担うBPOセンター第2グループ グループ長の香川直樹氏も「繁忙期と閑散期の仕事量の差が激しく、繁忙期のデータ処理量は月間20万件にも達します。一方、閑散期を補うために新事業へ挑戦しキャパシティーを確保したいのです」と課題を述べる。

BPOセンター第2グループ グループ長 香川 直樹 氏

2系統の入力システムを統合し、一元管理したい

これまで同社では2系統の入力システムを活用していた。一つはプロパンチャー向けの連想入力が可能なOpenIDES、もう一つは一般的なPCユーザー向けの自社開発システムと旧バージョンのe-Entry Express(旧3E)である。
前者は、プロパンチャーが入力専用の029配列キーボードを使用して連想入力という方法で、一般ユーザーの数倍の速度で精度高く入力していくものだ。一方、後者は、一般的なキーボード操作で簡単に入力できるためスタッフの増減に対応しやすく、拡張性は高い。

井本氏は「業務量は同じでも仕事の仕方が異なるので、連想入力チームとPC入力チームは個別に運用し、進捗やスケジュールもチームごとに管理していました。そのため一方のチームだけが早出や残業をしているなど、不均衡も発生していました」と以前の状況を説明する。

そのような折、双日テックイノベーションから「OpenIDESのサポートを2027年に終了する」という連絡が届いた。そこで、新しい入力システムとして検討されたのが双日テックイノベーションの統合データエントリーシステム「Natic e-Entry Express+」(以降、3E)だった。

導入効果

一元管理が可能な上、OpenIDESの資産も継承可能

3Eは、基本的な業務からプロユースの業務まで対応できる幅広い機能を備えている。
イメージの取り込みからイメージ編集、バッチ配分、作業権限の振り分け、入力、コンペア、ベリファイなどの入力関連機能、ワークフローやフォームのデザイン、進捗管理などの機能も搭載している。一般的なキー入力のほか連想入力にも対応しているので、2系統に分かれていた入力システムを統合することも可能だ。

ただOpenIDESからの移行では、過去に蓄積してきた数百にも上るフォームや帳票設定などの資産の移行が懸念されていた。しかし、確認したところ、新たに作成するのではなく3Eに資産を移行できることがわかった。

システム変更により生じる操作性の違いも不安視されたが、連想入力チームを管理するスーパーバイザーの藤縄真由美氏は、「画面構成が少し変わっても、連想入力にも対応できる3Eなら違和感なく操作できるため、チーム内で抱えていた不安は払拭されました。引き続きプロのスキルを活かす場が用意されたと思います」と語る。

BPOセンター第2グループ 藤縄 真由美 氏

ワークフローも、柔軟に設計できるようになる。高い精度が求められる案件では、入力後にベリファイ(検査)を実施し、二人で入力したものをコンペア(照合)するなどの方法が用意されている。ワークフローの自由度が高い3Eであれば、それぞれの案件に合わせて設計が可能だ。

そして検討の結果、20241月に3E導入が決定、4月に導入プロジェクトが動き出し、10月に一部業務から稼働を始めた。

今回の導入を現場推進担当として担った藤井隆宏氏は、3E導入後の双日テックイノベーションの姿勢にも好感を抱いたと言う。それは、両備システムズのデータの持ち方が特異であったため、想定よりもデータ量が増え、レスポンスが低下したときだった。
「レスポンス改善を要望した際には、『想定した使い方ではない』と拒絶されることを心配したが、双日テックイノベーションは改善するまでエンジニアが現場に立ち会ってくれた」と藤井氏は振り返る。

BPOセンター第2グループ スペシャリスト 藤井 隆宏 氏

人的リソースの活用やシステムの運用も効率化

3Eの導入効果としてもっとも大きいと感じるのは、連想入力チームとPC入力チームの統合です」と井本氏は語る。

OpenIDESにしかない資源の移行は現在も進行中だが、これまでチームごとに分かれていた進捗、実績などが3Eで一元管理できるようになり、移行が完了した業務は可視化が進み、管理負担も軽減されている。あわせて人的リソースも効率よく活かせるようになった。連想入力チームとPC入力チームそれぞれが抱えていたリソースを、案件に合わせて最適な組み合わせで割り当てられる。
以前はチームごとに仕事を分けていたので協力し合えないという課題があったが、3Eに統一すれば手分けしながら進められるようになり、不均衡が是正できる見込みだ。

藤井氏は「システムが統合されたことで連携しやすくなり、連想入力チームとPC入力チームの長所をうまく組み合わせて、大きなボリュームの仕事も進めやすくなります」と期待する。

また、それぞれのシステムにコストや運用の手間を二重にかける無駄も解消できた。プログラムに修正を加える際、以前は両方のシステムで修正、確認をしていたが、統合後は1回で済む。

さらにセキュリティも担保しやすくなった。
データエントリー業務では機微な情報や個人情報を扱うことも多い。そこでAI-OCRで取り込む際に1枚の帳票を複数のエリアに分割し、オペレーターには自分が担当している情報だけを切り出して表示させ、それ以外の情報がわからないようにしている。このエリア分割、座標指定の作業も3Eから標準機能として作業できるようになった。

AI-OCRとの親和性が高まったことで、生産性向上も期待されている。

AI-OCRを活用した運用フロー例

変化していくデータエントリー業務に柔軟な体制を

3Eへの期待として井本氏は、「現時点の3Eは日々ブラッシュアップを続けている成長途中のシステムだと思います。そこに私たち現場のノウハウを双日テックイノベーションとともに組み込んでいけば、さらに成長していけるはずです」と語る。

データエントリー事業にも変化が表れている。以前は単純な入力業務が多かったが、前後に審査の工程が入るといった案件も増えてきた。藤井氏は「昔はなかったような複雑な運用が必要となります。3Eでは柔軟にフローを組めるので、新しいビジネスも挑戦しやすくなります」と説明する。

現在は岡山で入力業務を担っているが、3Eは他拠点からの利用も可能なため、複数の拠点で連携することも想定している。さらにクラウドでも利用できるため、同社の運用ノウハウをパッケージ化して他のBPOベンダー、あるいは他業種で利用できるようなプラットフォームを提供できるのではないかという模索も始まっている。

数十年以上にわたりデータエントリー事業を運営してきた同社にとって、3E導入は大きな転換期になると見ている。紙を使わないオンライン処理が増え、紙の情報を入力する業務は減少していくだろう。しかし井本氏は「デジタルデバイドで取り残される人を出さないため、紙はなくならないでしょう。システム会社として紙を必要としない社会の実現に貢献すると同時に、誰も取り残さない社会に寄与するためにBPOの力を使いたい」と思いを語った。

(写真左から)
双日テックイノベーション株式会社 アプリケーション事業本部ECM事業部カスタマーサクセス課 課長 工藤 三郎
双日テックイノベーション株式会社 アプリケーション事業本部ECM事業部開発一課 染谷 尭
株式会社両備システムズ インフラビジネスカンパニー BPO事業部 BPOサービス部 BPOセンター第2グループ グループ長 香川 直樹 氏
株式会社両備システムズ インフラビジネスカンパニー BPO事業部 BPOサービス部 BPOセンター第2グループ スペシャリスト 藤井 隆宏 氏
株式会社両備システムズ インフラビジネスカンパニー BPO事業部 BPOサービス部 BPOセンター第2グループ 藤縄 真由美 氏
双日テックイノベーション株式会社 アプリケーション事業本部 ECM事業部 開発一課 主任 川本 祐子
株式会社両備システムズ インフラビジネスカンパニー BPO事業部 BPOサービス部 BPOセンター第1グループ グループ長 井本 佳佑 氏

※所属部署名、役職名は、取材当時のものです。

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