
エンジニアブログ ローカル5Gは結局Wi-Fiと何が違う?比較から利用シーンを考えてみる
Wi-Fiをすでに導入されている方々の中には「ローカル5Gって本当に必要なの?」といった疑問をお持ちの方もいるのでは?本記事ではWi-Fiとローカル5Gの違いを具体的な製品ベースで詳細に比較し、それぞれの特徴を解説しながら、どのような基準で使い分けるべきかを考察していきます。
また、実際の運用においてはどのように併用するのが効率的か、ユースケースを通して具体的なメリットを紹介します。DX推進におけるネットワーク選定を最適化するためのヒントとなる内容となっていますので、現場での導入を検討中の方に興味がある方はぜひご一読ください!

谷地 陽奈
入社から3年間Juniper製品のプリSEとして活動後、現在はテックマーケとして活動中
1. はじめに
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業にとって、安定したネットワーク環境の構築は欠かせません。その中で、Wi-Fiとローカル5Gは、どちらも企業ネットワークの選択肢として注目されています。しかし、「Wi-Fiで十分では?」「ローカル5Gを導入するメリットは?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
まずは基本的なWi-Fiとローカル5Gのそれぞれの特徴から整理し比較していきましょう。
2. Wi-Fi特徴と課題
・Wi-Fiの基本的な特徴
Wi-Fiは、無線LAN(Local Area Network)の一種で、オフィスや工場、公共施設などで広く利用されています。主な特徴として以下の点が挙げられます。
- コストが低い:1アクセスポイントの導入コストが比較的安価。
- 設置が容易:有線の敷設が不要で、既存ネットワークに簡単に追加可能。
- 幅広いデバイス対応:スマートフォンやタブレット、PCなど、多くのデバイスがWi-Fiに対応。
- 規格が標準化されている:IEEE 802.11規格に基づき、多くの機器との互換性が高い。
一方で、Wi-Fiにはいくつかの課題もあります。
・Wi-Fiの課題
- 通信の安定性に課題がある:利用者が多い環境では、帯域の圧迫による遅延が発生しやすい。
- セキュリティリスクがある:不正アクセスや盗聴のリスクが存在。
- 通信エリアが限定される:広範囲に安定した通信を提供するのが難しい。
- モビリティの制約:移動中の通信切れが発生しやすい。
このWi-Fiの課題となる点を補えるポジションにあるのが、ローカル5Gとなっています。
・ローカル5Gの強み
Wi-Fiと比較したローカル5Gの主なメリットは以下の通りです。
- 高速・低遅延:Wi-Fiと比べて大容量のデータを低遅延で処理可能。
- 安定した接続:干渉が少なく、安定した通信が可能。
- 高いセキュリティ性:独自ネットワークのため、外部からの不正アクセスリスクを低減。
- 広範囲のカバー:Wi-Fiよりも広いエリアをカバーできる。
- モビリティの強化:高速移動中でも通信が切れにくい。
3. ローカル5GとWi-Fiの使い分け基準
ローカル5GとWi-Fiは、それぞれの特性を活かして適材適所で使い分けることが重要です。
今回は比較の一例として、具体的な製品ベースで特徴を整理してみました。
ローカル5G製品をCelona、Wi-Fi製品をMistとしてまとめています。
表1.CelonaとMistの特徴比較表

→こちらの記事もぜひご確認ください!STech Iがローカル5G実現ソリューションにCelonaを選んだ理由 | STech I Lab | 双日テックイノベーション
〇Wi-Fiが適しているケース
・ 比較的狭い範囲での接続が求められる場合
➡ 建物内やオフィス、イベント会場内でのゲスト用通信環境
・ 多数のデバイスが接続する環境
➡ 教室・会議室・カフェ・コワーキングスペースなど
・ 遅延が許容されるインターネット接続用途で利用する場合
➡ メール、Web会議、クラウドサービス利用など
・ 通信遅延が比較的許容される用途
➡ 学習や業務用途のデータ通信、一般的な動画視聴
〇ローカル5G利用が適しているケース
・ 広範囲かつ安定した高速通信が求められる場合
➡ 屋外の大規模施設、大学構内、自動運転エリア
・ 超低遅延・高信頼性が求められる用途
➡ 産業用ロボット制御、遠隔医療、リアルタイム映像配信
・ 4K/8K映像やIoTデバイスなど、大容量データを低遅延で送受信する必要がある場合
➡ ドローンによるライブ映像配信、製造ラインのデータ収集
・ 特定エリア内で独立したネットワーク環境を構築したい場合
➡ 工場、物流倉庫、イベント会場、スマートシティ構想
・ Wi-Fiではカバーしづらいモビリティ用途
➡ 自動運転バス、ロボット配送、ドローン制御
4. 効率的なネットワーク運用における棲み分けユースケースとそのメリット
Wi-Fiとローカル5Gを効果的に使い分けることで、企業のネットワーク運用において多くのメリットを享受することができます。
例えば、オフィス内でのデータ通信にはWi-Fiを、工場内でのリアルタイムデータ収集/
制御にはローカル5Gを活用することで、それぞれの技術の強みを最大限に引き出し、効率的な運用が可能になります。
同じエリアをカバーしながら、用途に合わせ被せて住み分けるケースもあります。
イベント会場を例にすると、来場者が使う通信用途としてWi-Fi、高画質配信を実現するための用途としてローカル5Gを活用する。といった使い方も可能です。
また、通信を分けることで外部からのアクセスを制限しセキュリティ面の向上にも寄与します。
更にエリアを拡大させると、自動運転バスといった例もあります。
実際に大学構内での実証実験が進んでおり、レベル2のテスト運行もされています。
このケースでは、教員や学生の使う通信用途としてWi-Fi、自動運転バスの制御に関わる通信用途としてローカル5Gを活用する。といった使い方です。

このように、棲み分けを行うことで、ネットワークの安定性を確保し、無駄な投資を避けることができます。Wi-Fiの低コストと簡単な導入を生かしつつ、ローカル5Gで高帯域、低遅延、大規模ネットワークを支えることで、シームレスなデジタルトランスフォーメーションを実現できます。
5. まとめ
Wi-Fiとローカル5Gはそれぞれに強みがあり、利用シーンに応じた適切な選択が求められます。用途に応じ棲み分け導入で、次世代インフラへの準備をしながらネットワークの最適化をしましょう!
期待される棲み分け導入効果
- 業務効率の向上:安定した通信環境により、IoTやDXの活用がスムーズに
- トータルコストの最適化:Wi-Fiとローカル5Gを適切に使い分け、コストパフォーマンスを最大化
- セキュリティ強化:重要なデータはローカル5Gを活用し、セキュリティリスクを軽減
御社のビジネスに最適な通信環境、私たちと一緒に考えていきませんか?
ご相談お待ちしております。
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