• 代理店から届いた申請書が紙とメールとExcelに分散している
  • どの案件が誰のところで止まっているのか、電話で確認している
  • 募集人の登録情報を基幹システムと部門管理台帳の両方で二重管理している

 

保険会社の代理店管理において、このような課題に悩む担当者が多いのではないでしょうか。
原因は担当者の努力不足ではなく、業務の流れとデータの持ち方にあります。

この記事では、保険会社の代理店管理部門において代理店情報や申請状況が分散する原因を3つに整理します。さらに、代理店管理を効率化する5つの方法と、BPMを活用して業務改善を継続する進め方を解説します。

Index

1.保険会社の代理店管理業務とは

本記事で扱う「代理店管理業務」とは、保険会社が代理店や募集人に関する情報・申請・契約変更などを管理する業務を指します。主な業務は次の3つです。

■代理店情報管理・申請の管理
新規代理店の登録申請受付、審査、登録、体制整備状況の確認、更新手続きなどを行います。

■募集人情報の管理
募集人の登録・異動・退職に伴う届出のほか、資格・研修の受講状況などを管理します。

■代理店の契約変更管理
代理店の商号、所在地、代表者の変更や、代理店の廃止に関する手続きを受け付け、システムや台帳へ反映します。

これらの業務では、同じ代理店や募集人の情報を、複数の経路や管理台帳で扱う場面があります。例えば、代理店からの申請は紙・メール・FAXなど複数の経路で受け付け、部門ではExcelで進捗を管理し、正式な登録は基幹システムに入力する、といった運用です。
同じ情報を複数システムや台帳で管理すると、二重入力と更新漏れが発生しやすくなります。

代理店管理システムを比較検討する前に、自社の業務のどこで案件が滞留しているかを特定することが重要です。滞留箇所を明らかにすることで、原因となっている業務フローや改善すべき点が見えやすくなります。

2.代理店管理業務が非効率になる3つの原因

保険代理店管理の課題は、業務そのものの複雑さだけでなく、情報の持ち方と業務の流れに起因します。代表的な原因を3つ紹介します。

原因1:代理店情報が複数の台帳に分散している

基幹システム、部門で運用するExcel、紙の申請書控えなどに、同じ代理店情報が重複して保存されている状態です。どの台帳を正本とするのかが決まっていないと、照会のたびに複数の台帳を突き合わせる作業が発生します。更新箇所が増えるほど、入力ミスや更新漏れのリスクも高まります。

こうした情報の分散は、業務ごとに異なるシステムや管理方法が採用され、それらが十分に連携されていない場合に生じることがあります。
例えば、基幹システムで代理店情報を管理する一方、部門ごとにExcelなどの管理台帳を使用している場合、同じ情報を複数の場所で管理することになります。
このように、システム間の連携や情報の管理ルールが十分に整備されていないと、情報の確認や更新に手間がかかり、業務の非効率につながる可能性があります。

原因2:代理店申請の処理が滞留している

代理店申請は、受付、記載内容の確認、承認、システム登録、代理店への通知など、複数の工程を経て処理されます。そのため、工程ごとにメールのやり取りが発生します。
複数の申請を同時に受け付けた場合、個々の案件の進捗を追いきれなくなることがあります。たとえば、次のような状況です。

 

  • 受付漏れ:代理店からの申請メールが、ほかのメールに埋もれる
  • 承認遅延:承認者が担当する申請の滞留状況を一覧で確認できない

 

個々の担当者が注意深く対応していても、申請情報や進捗状況がメールや担当者個人のExcelに分散していると、対応漏れや処理の遅延を防ぐことは難しくなります。

現状の代理店申請フロー

原因3:運用が属人化している

承認の判断基準や、例外が発生した場合の対応方法が明文化されていないため、同様の案件でも、担当者の経験や判断によって対応が変わる場合があります。

また、案件の進捗や判断の経緯が担当者のメールボックスとローカルのExcelにしか残っていないと、都度、担当者に確認しなければ現在の状況が分かりません。休暇や異動の際には、引き継ぎに時間がかかり、過去の判断根拠もたどりにくくなります。

3つの原因は、それぞれ独立しているわけではありません。台帳が分散すると申請の処理が滞留しやすくなり、滞留した申請への対応判断が個人の経験に依存することで、属人化が進みます。紙やExcelを別のツールに置き換えるだけでなく、情報の管理方法や業務全体の流れもあわせて見直すことで、より広い範囲での業務改善につなげやすくなります。
 

3.代理店管理業務を効率化する5つの方法

1.代理店情報を一元管理する

代理店マスタと募集人マスタについて、どの台帳を正本とするか定めます。そのうえで、「誰が」「いつ」「何を」変更したのかを記録できるようにします。正本と参照元、更新方法を定義することで、すべての情報を一つのシステムに集約できない場合でも、二重入力や突き合せ作業の負荷を減らすことが可能です。

2.代理店申請業務をワークフロー化する

受付、記載内容の確認、承認、システム登録、代理店への通知までの流れを整理し、各工程の担当者や処理条件を定義します。
そのうえで、ワークフローシステムなどを活用し、申請ごとにステータスを付けて進捗を管理します。差し戻しや再提出も同じ流れの中で管理すれば、案件が担当者のメールボックスや個人の管理表に残ったままになる状態を減らせます。
申請の受付から完了まで、誰が、どの工程で、いつ対応したのかを追跡できる状態にすることがポイントです。

3.業務状況を記録・可視化できる状態をつくる

業務状況の可視化は、ダッシュボードを導入するだけでは実現できません。まず、何を把握したいのかを明確にし、必要な情報を継続的に記録できる状態を整えます。
例えば、次のような指標を管理します。

 

  • 受付件数
  • 処理中件数
  • 平均処理日数
  • 工程別の滞留案件
  • 差し戻し件数と理由


これらを一覧画面やダッシュボードで確認できれば、電話やメールで個別に進捗を確認する作業を減らしやすくなります。管理者も、滞留が発生している工程や担当者の負荷を把握し、応援要員の配置などを検討しやすくなります。

4.承認ルートを標準化する

商品種別や受付区分などに応じて、承認者や承認順序が変わる場合は、承認ルートの分岐条件を整理します。条件に応じて担当者を自動で振り分けられるようにすれば、判断のばらつきや担当者への確認を減らせます。
ただし、すべての判断を自動化する必要はありません。条件によって処理できるものはルール化し、例外的な判断や最終承認を人が担う範囲を明確にすることが重要です。承認ルートを文書化しておけば、新任担当者が業務を理解するまでの時間短縮にもつながります。

5.改善を継続できる仕組みをつくる

業務を電子化して終わりにせず、処理時間、差し戻しの理由、工程別の滞留件数などを継続的に確認し、申請フォームや承認ルート、担当者の配置を定期的に見直します。
例えば、特定の項目で差し戻しが多い場合は、申請フォームの記載欄や入力条件が分かりにくい可能性があります。特定の工程に滞留が集中している場合は、承認ルートや担当者の配置に無理がある可能性があります。
導入時点の業務設計が将来も適切とは限らないため、データをもとに改善を続けることを前提に仕組みを設計することが重要です。

4.自社の代理店申請業務を見直すチェックリスト

ここまで、代理店管理業務が非効率になる原因と、効率化に向けた5つの方法を紹介しました。
実際に改善を進める際は、自社の業務状況を確認することが重要です。
次の項目を、「はい」「いいえ」で回答し、自社の状況を確認してみてください。

【チェック項目】

  • 代理店情報の最新データが、どのシステム・台帳で管理されているか明確になっている
  • 募集人情報の変更内容や更新履歴を確認できる
  • 代理店申請の処理状況や所要時間を把握できる
  • 各申請案件が現在どの工程にあるかを確認できる  
  • 承認基準が明確で、担当者による判断のばらつきを抑えられている
  • 必要な承認者や承認の順序が明確になっている
  • 処理が長期化している案件を把握できる
  • 差し戻しが発生した場合、その理由を確認できる  
  • 担当者ごとの業務量や対応状況を把握できる
  • 業務フローを定期的に見直している


「いいえ」と回答した項目は、自社の業務状況や課題を具体的に確認するための手がかりになります。
すべての項目に「はい」と回答する必要はありません。「いいえ」の項目について、現在の運用状況や業務への影響を確認し、自社の業務量や運用体制に応じて、優先して見直す項目を整理しましょう。
 

5.BPMとワークフローの違い

本記事で紹介した5つの方法は、「業務プロセスの可視化」「業務の標準化」「データの活用」という共通した考え方に基づいています。こうした取り組みを継続的な改善サイクルとして管理する考え方が、BPM(Business Process Management)です。

BPMは、業務プロセスを可視化・分析し、設計、実行、評価、改善を継続的に行うマネジメント手法です。一方、BPMツールは、その改善サイクルを実際の業務で運用するための製品です。製品によっては、ワークフロー機能や業務画面、データ管理、外部システム連携などの機能を備えています。

ワークフローツールは、申請や承認など、個別の業務フローを電子化・効率化するために活用されます。BPMツールでは、ワークフローの管理に加え、処理時間や滞留、差し戻しなどの業務データを分析し、業務プロセス全体の改善につなげます。

BPM市場の動向や、Natic BPM Suiteの取り組みについては、双日テックイノベーションの公式プレスリリースで紹介しています。

▶プレスリリースはこちら

【比較表】

比較項目  ワークフローツール BPMツール
主な対象 申請・承認など、個別の業務フロー 複数の業務プロセスや部門をまたぐ業務全体
主な目的   業務フローを電子化し、申請・承認を効率化する 業務プロセスを可視化・分析し、
継続的に改善する
対応範囲 申請・承認を中心とした業務の管理・自動化 複数の業務やシステムをまたぐ
プロセスの管理・自動化
業務状況の把握 申請の進捗や承認状況を把握する  複数工程の処理状況や滞留個所を
把握し、分析・改善に活用する
業務変更への対応 承認者や承認ルートなどを変更する  業務プロセスや関連する
画面・データ・ルールを見直す
適しているケース 紙・メールで行っている申請や承認を電子化したい 業務の分散や属人化を解消し、
継続的に業務改善したい

 

ワークフローやBPMの導入を検討する際は、導入費用だけでなく、現在の運用にかかっている負担も含めて比較することが重要です。
例えば、個別システムの保守・更新、手作業による進捗確認、担当者への問い合わせ、異動時の引き継ぎなどにかかる時間やコストを整理すると、どの業務から改善するかを判断しやすくなります。
基幹システム全体を一度に刷新するのではなく、まずは周辺業務から段階的に見直す方法もあります。
 

6.まとめ

保険代理店管理を効率化するには、システムの選定・導入を優先するのではなく、まず現状の業務や情報管理にどのような課題があるのかを洗い出すことが大切です。そのうえで、代理店・募集人に関する情報の管理や、申請業務の流れ・承認ルートの整理など、自社の課題に応じた改善を支援できるソリューションを検討します。

具体的には、まずどの業務を対象とし、どの情報を管理するのかを整理したうえで、案件の進捗や処理状況を把握できる状態を目指します。業務を運用する中で蓄積した処理時間や差し戻し、滞留状況などのデータをもとに、業務フローや承認ルートを継続的に見直し、必要に応じて対象業務や関連システムとの連携範囲を段階的に広げていくことが、代理店管理全体の標準化・効率化につながります。

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