ネットワーク機器のソフトウェアアップグレードは、運用者にとって常に悩ましい作業のひとつです。
Nokia 7750 SR-2s をはじめとするコントロールプレーン(CPM)の冗長構成で運用可能なルータでは、サービス影響を最小限に抑えてソフトウェアを更新できる In Service Software Upgrade(ISSU) を利用できます。
ISSU の仕組みを正しく理解することで、より安全で効率的なアップグレード計画を立てることが可能になります。
ISSU(In Service Software Upgrade)は、システムを停止させることなく、または通信断を最小限に抑えながらソフトウェアをアップグレードできる仕組みです。
Nokia 7750 SR-2sでコントロールプレーン(CPM) を冗長構成(Active / Standby)で運用している場合、まず Standby CPM に新しいソフトウェアを適用・起動させ、その後 Active CPM を切り替えることで、サービスを継続したままアップグレードを完了できます。
ISSU を利用するためには、OS イメージや BOF(Boot Option File)といった 起動に必要なファイルが正しく準備され、両 CPM で同期されていることが前提条件となります。
※バージョン毎の制限についてはリリースノートに公開されているので、事前に確認が必要です。
以下の手順でISSUを実行します。
ステップ1 事前準備
ステップ2 Standby CPMのバージョンアップ
ステップ3 Active CPMのスイッチオーバーとActive CPMのバージョンアップ
■ステップ1 事前準備
ステップ1では既存の設定情報やソフトウェアイメージのバックアップ、設定情報の同期を実施します。
1-1:設定情報/ソフトウェアイメージのバックアップ
Active CPMに搭載しているコンパクトフラッシュ(cf3)内の以下のファイルを取得します。
-boot.ldr(システムの起動に必要なブートローダ)
-ソフトウェアイメージ (SROS)
-コンフィグレーションファイル(config.cfg/bof.cfg)
- *.ndx ファイル (インデックスファイル)
※YANGモジュールやPythonスクリプトを使用している場合はそちらも併せてバックアップを取得
1-2:SR OSイメージのアップロード
Active CPMのコンパクトフラッシュ(cf3)内にアップグレード先(25.7R1)のソフトウェアイメージをアップロードします。
※ソフトウェアのアップロードはFTPやSCP等で実施可能です。
1-3:boot.ldr(ブートローダ)の更新
25.7R1のディレクトリ内に含まれるboot.ldrをルートディレクトリに上書きコピーをします。
チェックサムを比較し、BOOT.LDRが正しくコピーされていることを確認します。
1-4:BoF(Boot Option File)の変更
機器の起動時に読み込むソフトウェアイメージのパスを設定(変更)します。
※イメージのパスはアップグレード先のソフトウェアイメージのディレクトリです。
1-5:Standby CPM側に設定情報の同期
“admin redundancy synchronize boot-environment” コマンドを使用して、システムの起動に必要なファイルをStandby CPM側に同期します。
この操作により、以下の設定情報などが Standby CPM に同期されます。
-BOOT.LDR
-Configファイル
-BOF(bof.cfg)
-ソフトウェアイメージ
■ステップ2 Standby CPMのバージョンアップ
ステップ2ではStandby CPMのアップグレード、アップグレード後のバージョン確認を実施します。
2-1:Standby CPM の再起動 (ISSUの開始)
“admin reboot standby “コマンドを使用して、Standby CPM を再起動し、ISSU プロセスを開始します。※Standby CPMの再起動中はDownステータスとなります。
2-2:Standby CPM のステータス同期
Standby CPM(この例ではSlot B)が起動するとステータスはsynching(同期中)と表示されます。Standby CPM の同期が完全に完了すると、Standby CPM のステータスは ISSU と表示されます。
-同期中のステータス
-同期完了
2-3:CPMのバージョン確認
Active側、Standby側のソフトウェアバージョンを確認します。
-Active CPMのバージョン
-Standby CPMのバージョン
Active CPMは旧バージョン、Standby CPMは新バージョンになっていることが分かります。
■ステップ3 Active CPMのスイッチオーバーとActive CPMのバージョンアップ
ステップ3ではActive CPMのスイッチオーバーを実行し、Active CPMのバージョンアップを実施します。
3-1:Active CPMでスイッチオーバーの実行
Standby CPM が同期を完了し、ステータスが「ISSU/standby」になったのを確認した後, Active CPM のスイッチオーバーを実行し、新しいソフトウェアイメージを実行しているCPM(Slot B) をActive CPM にします。
スイッチオーバーには”admin redundancy force-switchover”コマンドを実行します。ラインカードに対してSoft Reset 又はHard Resetを実行するかのメッセージが表示され、スイッチオーバーの実行の可否を選択します。
スイッチオーバーが実行されるとActive CPMは自動的に再起動します。
今回の検証構成は、1/1スロットのみ搭載しており、搭載しているラインカードはSoft Resetが行われます。
1/x1/1および1/x1/2は未搭載のためHard Resetと記載されますが、問題ありません。
スイッチオーバーの実行前にSoft Reset/Hard Resetが確認できるのは運用者にとって安心できる情報になります
3-2:Active CPM(Slot B)の切り替わり
スイッチオーバーを実行したため、Slot BがStandbyからActiveに切り替わります。
ラインカードのステータスを確認するとカードはSoft Resetが実行されていることが分かります。
3-3:ステータスの確認
Slot AのCPMが起動したらシステム全体のステータスを確認します。
Slot AのCPMはStandbyステータスとなります。※必要に応じて再度スイッチオーバーの実行します。
3-4:CPMのバージョン確認
Active側、Standby側のソフトウェアバージョンを確認します。
-Active CPM(Slot B)のバージョン
-Standby CPM(Slot A)のバージョン
どちらのCPMも25.7R1にソフトウェアアップグレードができるている事が確認できました。
以上でISSUの手順は完了です。
ISSUを使用したソフトウェアアップグレードの手順についてみていただきました。
アップグレード中のデータプレーンはどうだったでしょうか?
実際にトラフィックを印加しながら今回のISSUの検証を行っております。
■試験条件
-OSPFのネイバーは7750 SR-2sとTester間で2ネイバー確立させる
-OSPFで1000経路を7750 SR-2sに学習させる
-全ての経路宛てにトラフィックを印加する(1000PPS)
■試験構成
■結果
-CPMのスイッチオーバー後もOSPFのネイバー関係維持され、ダウンは発生しませんでした。
-データプレーンのトラフィック転送でドロップなし(1000ppsレベル)
ISSUはシステムを停止させることなく、通信断を最小限に抑えながらソフトウェアをアップグレードできることを確認しました。
- Nokia 7750 SR-2s は ISSU により通信断なしのアップグレードが可能
- Active/Standby の CPM 冗長を活用し、Standby → Active の順にバージョンアップ
- スイッチオーバー時もトラフィックロスは最小限、OSPF ネイバーも維持
- 実運用に適した、安全性の高いアップグレード方式
Nokia 7750 SR-2sのISSU は、計画的に手順を進めることで、運用を継続しながら安全にソフトウェア更新を行える点が大きな特長です。
装置の状態を確認しながら段階的に進めることが、ISSU を成功させるポイントと言えるでしょう。
今回ご紹介したネットワーク製品である NOKIA 7750 SR-2sについて、さらに詳しく知りたいお客様には、打ち合わせでの詳細な説明も可能ですので、ぜひお問い合わせください。御見積や製品カタログなどのご要望についても、以下の「お問い合わせ」ボタンよりお問い合わせください!
新田 翔也
2年目のネットワークエンジニア。Nokia 社 IPネットワークのプロダクトSEとして検証業務や製品立ち上げ業務を中心に担当。
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