IoTに関する通信技術の進展やクラウドサービスの併用、生成AIの活用などにより、製造業のネットワーク環境はかつてないほど複雑化している。企業のネットワークは今や単なるITインフラを超え、工場の稼働や事業継続を左右する「経営インフラ」のステージに進んでいる状況だ。
一方で、障害対応や構成変更、ベンダー同士の調整を担う運用現場は、慢性的な人手不足と属人化に直面し、マンパワー頼みの運用は限界を迎えつつある。
ネットワークが止まれば、現場もビジネスも止まる。
決して止めることが許されない生産ラインを保持する製造業において、経営インフラであるネットワークを「最後まで任せられる」保守体制とは何か。その在り方について、双日テックイノベーションの担当者に話を聞いた。

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- 双日テックイノベーション ネットワークインテグレーション事業本部 事業推進部 副部長
中薮 剛
近年、工場内の電子機器や産業機械などがネットワークに接続するIoT化が進み、製造業では「スマートファクトリー構想」を目指した取り組みが見られる傾向にある。
需要変動への迅速な対応や品質管理を経営戦略に即して実現するには、生産現場の稼働状況や品質情報をリアルタイムなデータとして吸い上げ、経営判断に直結させるIT(Information Technology)とOT(Operational Technology)の高度な連携が不可欠だ。
現場の「今」をデータで可視化し、経営層と現場が同じ指標で動く体制を築くことこそが、次世代の製造業における競争力の源泉となる。すでに大手企業を中心にITとOTの統合が進み、工場のネットワークは情報系と制御系が複雑に入り乱れる状況だ。
生産設備や制御システムが基幹系や社内ネットワーク、インターネットに接続されることで、生産現場の可視化や高度なデータ活用が可能になる一方、工場内のネットワーク運用の難易度は大きく高まった。
これまで製造業では本社の情報システム部門と工場の生産技術部門は、製造実行システム(MES)を境界に役割が分かれていた。OT領域のネットワークは現場ごとに個別構築や拡張が繰り返された結果、ネットワークは全体像が見えない「ブラックボックス」となっていることも少なくない。
しかしITとOTの統合が進み、工場全体を横断してデータや通信を活用するようになったことで、部分最適では対応しきれない局面が増えてきた。結果として、全体に最適化した設計や統制が求められる一方、管理主体が明確ではないネットワークや通信機器が混在し、構成や通信経路の全体像を把握しづらい状態が生まれている。
こうしたネットワーク環境の変化によって、障害発生時の切り分けは難度を増し、原因特定に時間を要するケースが増えている。複数の拠点やベンダーが関与する構成では調査や調整が重なり、人手による対応が避けられない。結果として運用負荷は現場に集中しやすくなる。
いま求められているのは、ネットワークを現場任せにせず、経営インフラにとって重要な「統制すべき基盤」として捉え直す視点である。
「ネットワークが複雑化し、複数ベンダー製品の構成が当たり前になるのに伴い、障害時にはベンダー間でのたらい回しが発生しがちです」(中藪)
中藪は、マルチベンダーの製品で構成された複雑な環境における障害対応の実情をこう語る。例えば、システム全体で障害が発生した際、ゲートウェイルーターはA社、コアスイッチはB社、フロアスイッチはC社と、それぞれ異なるベンダーが担当しているケースは珍しくない。このとき、最も大きな負担を強いられるのは、ベンダーのいずれでもない「お客様自身」だ。
「自分たちで一次切り分けを行い『この製品が怪しい』と当たりをつけて問い合わせても、ベンダー側で『うちのログには異常がない』と判断されれば、そこでボールは返ってきてしまいます。そうなると、また別のベンダーへ問い合わせ直さなければなりません」(中藪)
原因が特定できないまま、ベンダー間でのリレー対応をしている間にも、現場の停止時間は刻一刻と伸びていく。障害対応時は、迅速な復旧が求められるだけに、担当者のプレッシャーも大きい。
また、ネットワーク運用のスタンスについて、上野はエンタープライズ企業を大きく2つのタイプに分けて捉えている。
「一つは、大手SIerに運用を頼るユーザーです。この場合、運用面で大きな問題は起きにくい一方、特定の機器にロックインされやすく、更新時のコストが高止まりする傾向があります」(上野)
もう一つが、コストや自由度を重視し、自社で機器を選定・導入する「自前主義(自営)」の企業だ。
「ベンダーロックインやコスト増を避けたいお客様もいらっしゃいます。しかしその場合、運用環境にベンダーが混在しやすくなり、その結果、管理が煩雑になる傾向があります。ネットワーク全体を一元的に監視できず、どこで何が起きているのかを把握するだけでも手間がかかる。自由度を求めた結果、かえって管理の効率性が大きく下がってしまうケースも少なくありません」(上野)
こうした運用課題は、時間とともに自然に解消されるものではない。設備追加や構成変更を重ねるほど、ネットワークは複雑化し、障害時の切り分けや調整に要する工数も増えていく。人手による対応で何とか回っている状態は、すでに限界に近づいている。
従来は、障害が起きた際に個別対応できれば一定の安定性は保てていた。しかし、ITとOTの統合によって接続する機器の増加や影響範囲が広がる現在、ネットワークは業務スピードや競争力を左右する基盤へと変化している。
運用現場で求められているのは、機器単位の対応ではなく、複雑な構成全体を把握し、原因特定から復旧までを一貫して担える体制と言えるだろう。
双日テックイノベーションでは、通信キャリア向けネットワークの構築・運用で培った技術力を背景に、解決するまで向き合う運用アプローチを重視している。

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- 双日テックイノベーション ネットワークインテグレーション事業本部 事業推進部 一課 課長
上野 駿介
双日テックイノベーションが構築している保守体制の根幹にあるのは、設計・検証・運用を切り離さないという前提だ。
マルチベンダー環境では、ルーターやスイッチなどの領域の境界に問題が落ちやすい。こうしたサイロの隙間に生じる事象を拾い上げ、領域をまたいで調査・対応する役割をあらかじめ体制として担うことが、現場の負担を減らす第一歩となる。
「ネットワークインフラ全体としてお任せいただければ、障害時に原因がどこにあるかをお客様が探す必要はありません。 領域をまたがって調査し、解決するところまで一緒にやる。それが前提です」(中藪)
中藪のこの言葉は、同社の保守姿勢を端的に表していると言えよう。
「原因がわからない障害は、実際に少なくありません。再現検証を何度繰り返しても事象が起きないケースもあります。そうした場合でも、条件を変えながら何十回、時には何百回と検証を繰り返しています。過去には半年ほど検証やヒアリングを繰り返したケースもありました。お客様自身も『それだけ向き合わなければならない問題だ』と認識されていることが多く、その思いに、最後まで真摯に向き合っています(中藪)」
実際の保守現場では、一定回数の検証を経て再現しない場合、経過観察としてログの取得頻度を上げるといった対策で区切りがつけられることもよくある話だ。
双日テックイノベーションのこうした姿勢は、通信事業者向けネットワークを支えてきた現場経験にも通じている。上野は、キャリア領域で求められる対応をこう語る。
「サービスプロバイダーのお客様の場合、その先には何千、何万という利用者がいます。障害が起きれば、影響範囲も広く、莫大な損害も発生します。お客様自身も非常に大きなプレッシャーを感じている。だからこそ、いかに早く解決できるかが重要ですし、仮にすぐに解決できなくても、現場に駆けつけて、自分たちのノウハウで可能な限り切り分けを進める。実直に、人としてやるべきことをやる。そうした情熱を持ったエンジニアがネットワークの保守には特に必要だと思っています」(上野)
原因究明の難易度が高まり、マニュアル通りの対応では立ち行かなくなる中で、保守の成否を分けるのは妥協を許さない姿勢だ。
通信キャリアという1秒の停止が社会的な混乱を招く現場でエンジニアたちが共有してきた「効率や方便に逃げない実直さ」が、双日テックイノベーションの根底には息づいている。
同社にはネットワークに限らず、サーバーやストレージまでを横断して把握できる製品知識と、各領域に精通したエンジニアが在籍している。この体制があるからこそ、決して途中で投げ出さず「最後まで任せられる」保守を支えていると言えよう。
これまで通信事業者やエンタープライズ企業のネットワークを長年支援してきた実績がある双日テックイノベーション。
特定ベンダーに依存せず、外資系ネットワーク機器や先端技術を幅広く扱い、実環境で多数の運用実績を誇る。Juniper Networksやローカル5GプラットフォームのCelona(セロナ)など、国内ではまだ事例の少ない先端製品についても早期から検証・実装に取り組んできた。

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- 双日テックイノベーションの拠点の1つである先進の技術サポートセンター「STech I Pier One」
最新鋭の検証環境を備えたPOC(概念実証)ラボエリアを備え、あらゆる検証が可能
同社は、お客様が導入する前に徹底した検証を行い、日本企業が求める品質水準に達しているかを見極めたうえで提案する。
「ベンダー側からも、『双日テックイノベーションに触らせれば、入念な検証を実施してくれる』と期待されている部分があります。単なる販売パートナーではなく、ベンダーの手足となり問題を一緒に解決していく支援者として見てもらっているからこそ、お客様に対してもベンダーに匹敵するノウハウでサポートを行えるのです」(上野)

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- 双日テックイノベーションは、2023年にジュニパーネットワークス(現:HPE Juniper Networking)
より国内初となる世界最高評価のサポートサービスパートナーを受賞している(詳細はこちらのプレスリリースをご覧ください)
もう一つの強みが、ネットワークという枠に留まらない技術対応力だ。
「当社では『日本初』の製品を購入したり、まだ事例の少ない技術に対して先行投資的に機材を導入したりすることは、昔からやってきたことです。そうした最先端の製品にいち早く触れ、展開していく姿勢は、他社にはない文化だと思います」(中藪)
こうした姿勢は、特定の「デファクトスタンダード(定番)」だけで構成を組むのではなく、お客様の課題にとって最適な技術を提案する土壌となっている。
上野も、提案時の考え方について次のように補足する。
「私たちが取り扱うHPE Networking、Arista、Nokiaなど、あらゆるベンダーの製品を組み合わせ、お客様にとって適切なものを選定します。[21.1]加えて、ネットワーク機器単体だけでなく、サーバーやストレージといったコンピューティング領域まで含めたインフラ全体を一元的に提案できる点も、フラットな視点を持てる理由の一つです」
こうしたキャリアグレードの検証力と、ベンダーに依存しない幅広い技術対応力は、通信事業者やエンタープライズ領域にとどまらず、IT・OT統合が進む製造業のネットワーク運用においても大きな意味を持つ。
インフラ全体を支える双日テックイノベーションの保守体制は、複雑化する製造業のネットワーク基盤において「最後まで任せられる」運用の現実解となり得るだろう。次世代の製造現場を共に切り拓くパートナーとして、まずは同社へ現状の課題を相談してみてはいかがだろうか。
※部署名・役職名は取材当時のものです(2025年12月時点)。
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