DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速と反比例するように深刻化するIT人材不足。情報システム部門は人員確保が困難ななか、セキュリティ対策をはじめとする「守りの運用」に忙殺されているのが実情です。既存人材がより価値ある業務に注力し、パフォーマンスを最大限に引き出すには、どのような体制が求められるのでしょうか。本記事では、人材不足を解決するアプローチと、それを支える運用モデルをご紹介します。

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情報システム部門に迫る「IT人材不足の深刻化」と負のスパイラル

多くの企業がエンジニアの初任給を引き上げており、年収500万〜600万円を提示するケースも珍しくありません。しかし、これほどの好条件を提示してもなお、人材確保は困難を極めているのが実情です。

こうした外部採用の激化を受け、特に情報システム部門における人材不足はより深刻な局面を迎えています。同部門においてIT人材が慢性的に不足している背景には、大きく分けて二つの要因があります。

DXの加速

IPAが2025 年に発表した「DX動向2025」によると、「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」と回答した企業の割合は、DX先進国である米国と同等程度にまで達しており、ドイツを上回る水準へと進展しています。日本で何らかの形でDXに取り組んでいる企業は77.8%。2022年の69.3%と比較すると、着実にDXが企業に浸透しつつあります。

情報システム部門においても、DX推進の中核的な役割を担っており、より多くの人員を配置する傾向にあります。

セキュリティ脅威の増大

警察庁が発表した「令和6年における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、政府機関、交通機関、金融機関といった重要インフラを担う事業者を狙った攻撃が増加しています。

また、サイバー攻撃の前兆となる脆弱性探索行為などの不審なアクセス件数は、増加の一途をたどっています。2024年には1日・1IPアドレス当たり9,520.2件(前年比4.1%)に達しており、その大部分が海外からのアクセスによって占められています。

頻繁にニュースでも取り上げられるランサムウェアについても、被害件数が222件と前年から増加し、高水準で推移しています。
これらの脅威が増大したことにより、企業の情報システム部門では、新たなセキュリティ製品の導入が求められるようになりました。またインシデント対応も日常業務としてこなさなければなりません。セキュリティ脅威が増大したことにより、業務負荷がさらに増大しています。

情報システム部門では、DX加速による人材の増員が求められ、さらにセキュリティ対策にも人員を割かなければなりません。慢性的に人手不足なのに、さらに人員が不足するという「負のスパイラル」に陥っています。

最新トレンド: IT人材不足で注目される「三つのR」

現代の日本企業において、IT人材の不足は事業継続を脅かす最大のリスクの一つです。単なる運用業務の効率化や省力化といった「守り」の対策だけでは、激化するデジタル競争を勝ち抜くことは困難です。今、企業に求められているのは、既存の人材を最大限に生かし、その価値を高める「人材の教育と定着」を軸とした抜本的な改革です。その解決策として、以下の三つのアプローチが注目されています。

リスキリング(reskilling:学び直し)

これまで多くの企業が、効率化を名目にIT業務のアウトソーシングを進めてきました。しかし、その結果として社内の技術力や知見が失われる「スキルの空洞化」が深刻な問題となっています。外部に依存しすぎる体制を見直し、リスキリングを通じて社員が最新技術を学び直せる環境を整えることが不可欠です。実務経験の蓄積を通じて社員が着実に成長できる機会を創出することで、組織全体の技術的基盤を内製化し、強化することが可能となります。

リテンション(retention:離職防止)

優れたIT人材ほど、本来の創造的な業務ではなく、トラブル対応や煩雑な手作業に忙殺される状況に不満を感じ、離職する傾向にあります。こうした負の側面を排除し、専門性を発揮できる「攻め」の仕事に集中できる環境を整備することは、離職防止だけでなく、モチベーションの向上に直結します。

リソースシフト(resource shift:リソース再配分)

従来のIT部門は、システムの安定稼働を支える「運用保守」に多くの人員が割かれてきました。しかし、ビジネスの変革が求められる現在、IT人材の役割を保守から「戦略的な価値創造の担い手」へとシフトさせる必要があります。定型的な運用業務を自動化やクラウドサービスへ委ねることで余力を生み出し、そのリソースを新規事業の創出やビジネスモデルの変革を担う「戦略人材」へと大胆に転換させることが、企業の競争力を左右します。

これら三つの施策は互いに連動しています。運用業務の省力化によって捻出された時間を学びと戦略的業務に充て、やりがいのある環境を整える。この好循環こそが、IT人材不足を解決し、持続可能な成長を実現するための鍵となります。

「三つのR」を実現するIT運用のモデル

IT人材の「育成(リスキリング)」と「定着(リテンション)」、そして「役割の転換(リソースシフト)」。これら三つの戦略を机上の空論に終わらせず、情報システム部門で具現化するためには、IT運用の「体制」そのものを見直す必要があります。

企業の状況やフェーズに応じて選択すべき、三つの運用モデルとその特性を整理しました。

内製化:リスキリングで社内ノウハウの蓄積

まず検討すべきは、自社で運用を完結させる「内製化」です。
このモデルの最大のメリットは、リスキリングと社内ノウハウの蓄積に直結する点にあります。自ら手を動かし、試行錯誤するプロセスこそが、エンジニアとしての成長を促し、ブラックボックス化を防ぐ唯一の手段です。

しかし、これには「人材の確保」という高い壁が存在します。さらに、技術トレンドの激しい変化に自社単独で追随し続けるのは容易ではなく、常に最新のスキルを維持するための高い教育コストと個人の努力が求められます。

マネージドサービス:部分的な外注活用でリテンションを実現

次に、特定の領域をプロに任せる「マネージドサービス」の活用です。
高度な専門性が必要な分野や、煩雑な定型業務を限定的に切り出すことで、社内人材を過度な負荷から解放し、リテンション(離職防止)に寄与します。プロの知見を借りながら、自社のコア業務に集中できる環境を整える現実的な解です。
懸念点は、ベンダーの質に左右されることです。パートナーが「言われたことしかやらない」受け身の姿勢では、運用の高度化や改善提案が得られず、結果として社内の停滞を招くリスクがあります。

フルマネージドサービス:攻めのリソースシフトへ転換

最後に、運用の大部分を外部へ委ねる「フルマネージドサービス」です。
これは、社内リソースをDXや業務改革といった「攻め」の施策へ一気に投入するリソースシフトを実現するための最短距離です。運用保守という「守り」のフェーズを外部へ切り出すことで、社員はビジネス価値を創出する戦略的業務に専念できます。
ただし、これにはベンダーに対する強力な信頼と、組織全体の意思決定が必要です。専門性や体制が不透明なパートナーを選んでしまうと、いざというときのコントロールを失う恐れがあるため、慎重な選定が鍵となります。

重要なのは、これら三つのモデルは決して相反するものではないということです。
例えば、システムの基盤部分は「フルマネージド」で安定させ、差別化の源泉となるアプリケーション開発は「内製化」でスキルを磨く。あるいは、最初は「部分的な外注」から始め、社内のリスキリングが進んだ段階で「内製化」へ移行する。このようにハイブリッドかつ段階的なアプローチが可能です。
自社の課題と現在の人材が持つスキルセットを冷静に見極め、これらを柔軟に組み合わせること。それこそが、IT人材不足を乗り越え、持続可能なIT組織を構築するための最適解となるはずです。

STech Iが提供するマネージドサービス

深刻化するIT人材不足と、激増するサイバー攻撃の脅威。多くの企業が「守りの運用」に追われ、本来進めるべき「攻めのDX」が停滞するという負のスパイラルに陥っています。この構造的課題を打破し、人材のリスキリングやリソースシフトを実現するためには、単なるアウトソーシングを超えた戦略的な運用パートナーが不可欠です。

STech Iは、双日グループのIT中核会社として培った知見を生かし、既存のマネージドサービスの域を超えたサービスを提供しています。企業のフェーズや課題、ニーズに合わせた柔軟な体制、圧倒的な網羅性、そしてグローバルな対応力を備え、お客様のIT組織を次なるステージへと引き上げます。

組織の成長に合わせた「選べる運用モデル」

STech Iでは、お客様のIT戦略や内部リソースの状況に応じて、「内製化」「マネージドサービス」「フルマネージドサービス」いずれも対応しています。
 

  • 内製化支援: 将来的な自立を目指す企業に対し、ノウハウの移転やリスキリングを伴走型で支援
  • マネージドサービス(部分活用): セキュリティ監視やインフラ運用など、高度な専門性が求められる領域をピンポイントで支え、社内人材のリテンションを向上
  • フルマネージドサービス: 運用全般をトータルで引き受けることで、社内リソースをDXやビジネス変革といった戦略的業務へ大胆にリソースシフト


これらは固定的なものではなく、企業の成熟度に合わせて段階的に組み合わせることも可能です。

戦略からサポートまで、隙のない「圧倒的なカバー領域」

ITの課題は、インフラ、セキュリティ、アプリケーションと多岐にわたり、それらが複雑に絡み合っています。STech Iの強みは、そのカバー領域の広さにあります。

上流工程であるIT戦略立案から、土台となるクラウド・インフラ構築、日々巧妙化する脅威を防ぐセキュリティ対策、ビジネスを支えるアプリケーション保守、そして現場の生産性を支えるエンドユーザーサポート(ヘルプデスク)まで、ワンストップで対応します。領域ごとにベンダーが分断される「サイロ化」を防ぎ、一貫性のあるガバナンスを実現します。

国境を越えた「グローバルなIT統制」の実績

事業のグローバル化に伴い、海外拠点のIT管理は喫緊の課題となっています。STech Iは、多拠点・多言語対応の体制を完備しており、海外法人のITガバナンス構築においても豊富な実績を誇ります。

「現地のIT状況が把握できない」「拠点ごとにセキュリティレベルがバラバラである」といった課題に対し、日本品質の標準化された運用をグローバルに展開。物理的な距離や言語の壁を越え、グループ全体のIT基盤を強固に統合します。

IT運用は、もはや単なる「維持」のための業務ではありません。STech Iをパートナーに迎えることで、運用モデルに対応したサービスを活用し、人手不足という逆風を組織変革の好機に変えることができます。STech Iは、確かな技術力と柔軟なサービス設計で、お客様のIT戦略にもとづいた運用をサポートします。

FAQ: IT運用に関するよくある質問

STech Iは、組織内に運用ノウハウを蓄積させるリスキリング支援やDXプロジェクトの支援など、幅広くサービスを提供しています。その中で情報システム部門の体制見直しを検討されるお客様からよく寄せられる質問をまとめました。

Q:IT部門が「運用業務」に追われ、DXなどの新しい施策に手が回りません。何から手をつければよいでしょうか。

A:まずは業務の「仕分け」を推奨します。定型的な監視・保守業務、ヘルプデスク対応など、外部に切り出しても競争力に影響しない業務を特定してください。これらをマネージドサービスへ委ねることで、社内人材を戦略的な「攻め」の業務へシフト(リソースシフト)させる余力を生み出すことができます。

Q:運用をアウトソーシングすると、社内にノウハウが残らなくなる(空洞化)のが心配です。

A:丸投げではなく「内製化支援型」のサービスを選ぶことが重要です。STech Iでは、運用の手順化や可視化を行い、お客様と知見を共有しながら進めるプランをご用意しています。「どの部分を自社で持ち、どの部分を任せるか」を段階的に調整することで、社内のリスキリングを並行して進めることが可能です。

Q:マネージドサービスとフルマネージドサービス、どちらが自社に適していますか。

A:自社のIT要員の「スキルセット」と「目指す姿」によります。

マネージドサービス: 優秀な人材が、煩雑な運用作業に追われて付加価値の高い業務に専念できていない場合
フルマネージド:IT部門の役割を「システムの維持」から「ビジネス変革の推進」へと大胆に転換したい場合

現状のスキルマップ作成からお手伝いし、最適なバランスをご提案します。

Q:海外拠点のIT管理がバラバラで、ガバナンスが効いていません。対応可能ですか。

A: はい、可能です。STech Iは、双日グループの世界60か国で利用しているシステムの運用保守を日本から統括管理しています。多言語・多拠点対応の実績を生かし、日本主導でのグローバル・ガバナンス構築を支援します。現地のインフラ状況の調査から、標準化された運用ルールの適用、共通のヘルプデスク設置まで、国境を越えた一元管理を実現します。

まとめ:戦略的なマネージドサービス活用を

今回は、情報システム部門における人材不足が深刻になっている現状をどのように打破していくのかをご紹介しました。ここまでを振り返ります。
 

  • セキュリティ脅威が増大するなど、情報システム部門はやるべきことが山積みとなっている一方で、DXの取り組みに人員を割く必要がある
  • その中で今企業が求められているのは、既存の人材を最大限に活用する抜本的な改革である。その解決策として、「リスキリング」「リテンション」「リソースシフト」のアプローチが注目されている
  • この三つのアプローチを具現化するには、「内製化」「マネージドサービス」「フルマネージドサービス」の運用モデルが考えられる
  • STech Iは、単なる運用代行ではなく、三つの運用モデルに対応し、運用体制の抜本的な見直しを支援している


STech Iは、「コスト増」や「ベンダーロック」など、一般的なマネージドサービス導入後の懸念を踏まえ、お客様の成長に直結するサービスを提供しています。「運用コストを抑えてDXに投資したい」「スキルチェンジしたいが教育する余力がない」など、お客様のさまざまな課題に対してご提案しています。情報システム部門の改革に取り組むお客様は、一度お問い合わせください。

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