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アプリケーション事業本部(AP事業本部)では自社ブランドのアプリケーション開発やサービスプラットフォーム開発を進め、お客様の新たなビジネス創造に貢献することを目指しています。しかし、単体の組織として独自に事業を営んでいるわけではなく、本部の事業を語る上で欠かせないのが、NEVとITIという2つの関係会社の存在です。NEV(日商エレクトロニクスベトナム)は当社の100%子会社としてベトナムで事業を展開し、ITI(株式会社アイ・ティ・イノベーション)と当社は2021年に資本業務提携契約を締結しています。
AP事業本部(日商エレ)、NEV、ITI 3社の共創関係により、AP事業本部はどのような価値を生み出しているのかを紹介します。

アプリケーション事業本部 本部長 長谷川 健

NEVについて

まず、NEVの業務内容とAP事業本部との関りについて教えてください。

NEVはソフトウェア開発により事業展開をしている会社で、その事業は大きく二つに分解できます。一つは日本向けのオフショア開発で、もう一つはベトナム国内市場に向けたソフトウェアプロダクトの展開です。

前者のオフショア開発に関しては、外販は全体の12割程度にすぎず、大半が当AP事業本部のソフトウェア開発アウトソーシングを担っている形となります。

一方、NEVは自社開発のソフトウェアをIPアセット(自社知財)という形で保有し、カスタマイズを加えた上でベトナム国内市場向けのソリューション展開もしています。これは当本部が日本国内で展開している事業モデルと同じですね。基本的にはフルスクラッチのSIは提供しておらず、あくまでもNEV内で開発したソフトウェアプロダクトやテンプレートを活用し、企業に展開するというスタイルです。

現在取り組んでいるのは人事労務のソリューションで、採用や福利厚生、eラーニングなどの人事関連システムをとりまとめ、RESIMEというブランド名で市場展開しています。

また、立教大学と提携して2018年より「海外インターンシッププログラム」開始し、日本からインターンの受け入れを行っています。実際に、日系企業向けに資料の翻訳業務、英語での他社製品の機能リスト作成やマーケティングリサーチなど営業サポートを通して、学生に海外で働くことの実感が持てるような機会提供をしています。

ITIについて

ITIはいかがでしょうか?当社と資本業務提携をしていますが、具体的にどのような分野でAP事業本部と連携しているのですか。

ITIにはコンサルティングと人材育成という二つの分野で支援いただいています。コンサルティングにはPMO(プロダクトマネジメント支援)という立場でお客様のプロジェクトに参画するケースもあれば、超上流のIT構想企画や経営戦略の立案などに携わるケースもあります。

当事業本部との連携が強いのは、特にPMOですね。資本業務提携をした2021年から2022年にかけて、ITIと協力して本部内にPMOの組織を立ち上げ、組織として定着させる活動を続けてきました。2023年には一歩進んでITIメンバーにもPMOとして個別のプロジェクトに参画いただくことにより、当社メンバーだけでは対応できなかった新たな案件を獲得する攻めの取り組みが出来るようになりました。

人材育成面では、外部のお客様への教育支援に加え、当社の社員や200名程の協力会社メンバーに対する教育も担っていただいています。

当社の提供するシステム構築にはPMOが欠かせないかと思いますが、一方で超上流部分のコンサルティングは、どのような形で当社の提供するサービスに関わってくるのでしょうか?

当社とお客様との関わりは、システムの構築を希望されるお客様がRFPを提示されるところから始まるわけですが、お客様の社内では、その前から企画がスタートしています。例えば今年度はある特定の事業の収益を上げるという目標を背景にシステム自動化という話が持ち上がったのかもしれません。通常、我々にはそのような内部事情を詳しく聞ける機会はありませんが、ITIはシステム実装工程前の企画段階からお客様を支援するサービスを提供しているため、我々より早い時点でお客様と接点を持ち、案件の背後にある事情を汲み取ることが可能となります。上流過程を理解しているITIというパートナーとの連携により、我々もより深くお客様の状況を理解し、お客様に適したシステム提案を行うことが出来るようになると考えています。

ITIには当社に不足している企画や構想力の面でコンサルティングのサービスを提供いただいているということですね。AP事業本部では、ITIの有するナレッジやノウハウを積極的に学んでいるのでしょうか?

はい、ITIのメンバーと一緒にプロジェクトに参加し、直にノウハウに触れるケースもありますが、それだけでなく、より体系的に学んでもらうことを目的として、当事業本部からITI2名の出向者を出しています。アーキテクチャ部分のコンサルティングに1名、プロジェクトマネジメント分野のコンサルティングに1名です。

一般的にシステム開発は、ソフトウェアの開発として認識されることが多いかもしれませんが、ソフトウェアが動作するための基盤やミドルウェア、インフラを含めた設計などにもアプリケーションベンダーとして関わっていく必要があると考えています。アーキテクチャ分野の出向者には、システム全体を包括的に設計できる素養を身につけてほしいという期待を込めて送り出しています。

プロジェクトマネジメントに関しても、ITIには様々なメソッドがありますので、出向者にはそのメソッドをしっかり学び、当社で再現できるようになってもらいたいですね。

NEVはどうでしょう?AP事業本部のソフトウェア開発やアウトソーシングを担っているということで、NEVと一体となってプロジェクトを推進している本部のエンジニアがいるのではないでしょうか。そのようなプロジェクトを通じて得られる経験やスキルはありますか?

私はプロジェクトを推進していくうえで最も必要となるのは、正しく言語化する能力だと考えています。日本人同士でも齟齬が生じる場面はありますが、まして相手が外国人となると、文化的背景や物の見方が異なるのは当然のことです。我々日本人は意図的に自分の希望を表明せず、相手が行間を読んでくれるのを期待する習性がありますが、それではグローバルなビジネスは成り立ちません。相手に正しく理解してもらうためには、一つひとつ丁寧に省略せず伝える必要があります。日本式の「あれ、やっておいて」では、決して伝わらないのです。「あれ」とは何かをしっかり言語化して伝える訓練を通し、どんなプロジェクト遂行にも不可欠な正しく言語化する力が身に着くはずです。

相手に細部まで正しく伝わったかどうかを確認する一連のプロセスは、丁寧な仕事につながり、人と人との信頼関係を強めます。ひいてはお客様の信頼にもつながっていくというのが、私のベトナム駐在時代における実体験です。自分は40歳の時にベトナムに駐在していましたが、将来的には、出来ればもっと若いメンバーにそのような機会を与え、現場でベトナムのエンジニアと一緒にサービスを生み出す経験を積ませてあげたいと思っていますね。ベトナムの若いエンジニアは新しい技術に貪欲で、習得も非常に早いです。彼等からポジティブな刺激を受け、自身のマインドセットを変えるきっかけにしてほしいのです。

今後の展望

今後の展望についても教えてください。事業本部として目指す未来の在り方や、大切にしたい価値観などはなりますか?

当事業本部では、これまでプロジェクトマネジメント機能を強化し、SI(システムインテグレーション)を通じてお客様のビジネスを支えることに注力してきました。今後の中期経営計画におきましては、引き続きプロジェクトマネジメント力の強化に努める一方で、新たにリカーリングビジネスにもチャレンジしていきたいと考えています。

今までの一本足打法から徐々にSIへの依存度を下げ、ストックビジネスの比率を上げていく構想です。そのためにはAP事業本部単独での変革ではなく、NEVITIと共に三位一体となってエンジニアポートフォリオを設計することが重要です。目先の売上よりも、今は組織力を高めることを優先したいですね。

長谷川さんの構想の中で、NEVITIは今後、どのような役割を担うことになるのでしょうか。

今、我々が保有しているアセットの陳腐化を防ぐためには、明確なロードマップを作製し、常にアップデートを繰り返していく必要があります。そこで出番となるのがNEVの人材です。彼等はとにかく手を動かすことに長けているため、スピード感をもってベースプロダクトのアップデートに取り組んでくれることでしょう。将来的には先に日本市場で展開したサービスをベトナム市場向けにアレンジ出来れば、NEVの成長にもつながると考えています。

ITIに関しては、引き続きSIの分野におけるPMOが活動の中心になるかと思います。一方で、リカーリングモデルを作っていく上でもアーキテクチャ設計は生きてくるはずです。SIとリカーリング双方のビジネスに共通する取り組みとして、カスタマーサクセスを意識し、ITIDX人材教育サービスを有効活用することも考えていきたいです。

三位一体となってシナジー効果を生み出していくということですね。今後の展開はAP事業本部にとって、大きなチャレンジとなるのではないでしょうか。

長年築き上げてきたSIを基盤としたビジネス形態は、一朝一夕に変わるものではありません。ストックビジネスへの移行に関し、トップダウンでビジョンを伝えても、なかなか浸透しないので、現場目線でPlayBookを作成し、皆で一緒にやり方を考えていきたいですね。

まずは一人ひとりマインドセットを変える必要がありますが、組織の機能を思い切ってSIとリカーリングに分けてしまうことも有用でしょう。リカーリング用のプロダクト開発を選任とする部隊を作り、NEVと協業できれば、ベトナム市場展開においてもシナジーが出せるのではないでしょうか。

リカーリング用のプロダクト開発専任部隊では、どのような素地やスキルが求められますか?

やはり、プロダクトマネジメントのできる人材が必要ですね。お客様の要求に応じ、定義して設計してデリバリーするという従来の方法ではなく、自らお客様への提供価値を高め、提案することが求められていると思うのです。技術力は、その後についてくるものだと考えています。

当社の「ありたい姿」につながりますね。今後のAP事業本部の変革に期待しています。

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