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『最高のアプリケーションを作り、お客様のビジネスを創る』―アプリケーション事業本部のビジョンのもとで進化を続けるメンバーの声をお届けします。

アプリケーション事業本部 アプリケーション事業推進部 副部長
木村 悦治

現在取り組んでいる事業について、概要と背景、立ち上げの経緯などを教えてください。

一般的に「貿易DX」と呼ばれている、貿易業界の業務デジタル化に取り組んでいます。

元々当事業本部ではデジタルレイバー事業としてRPA(ロボティックプロセスオートメーション/ロボットによる業務作業の自動化)を推進していたのですが、事業開始から5年以上が経過し、もはや新規事業とは呼べなくなっていました。事業としてのRPAに限界を感じ、移り変わりの早いIT業界で生き残るためには新たなチャレンジが必要ということで目をつけたのが、貿易DX事業です。

以前より当社のデジタルレイバー事業ではRPAの他、AI-OCR(AIにより画像データを認識し、文字データに変換する技術)も取り扱っており、その中でどのようなデータが存在するかを精査してみましたところ、貿易の自動化に関する案件が多いことがわかりました。そこで貿易業界に興味を持ち調べた結果、非常にアナログで、課題が多いという事実が浮き彫りになってきたのです。

課題というのは、具体的にどんなことなのでしょうか? また、課題に取り組むにあたり、心掛けていることはありますか?

貿易業界は、日常的に数多くの書類が行き交う世界です。国際的なプロトコルにより作業の手順が定められており、紙ベースでの運用という仕組みが出来上がっています。有価証券としてのB/L(Bill of Lading)L/C(信用状)を介しての決済など、紙を基軸に取引が回っているような世界なのです。また、一つの取引に関わるのは売主と買主だけではなく、船会社やフォワーダーなど、さまざまなプレイヤーが関与しています。それぞれのプレイヤーがExcelなどで個別にデータを管理し、メールやFAXなどの伝達手段により、紙をバケツリレーしているような状態です。

したがって、取引量が増えるとそれを捌く人材も確保する必要があるのですが、アナログ的な手作業や手入力による業務をデジタル化することができれば、少ない人数でも多くの業務をこなすことができるようになります。

単にAI-OCRによる貿易業務の自動化ということであれば、他社でも実績があるのですが、当社は徹底的に貿易業務を調べ、お客様の現場に入り込んでいくことにより、差別化を図っています。貿易関連の書類は細かく、デジタル化が難しいのですが、当社のエンジニアメンバーには職人技のように書類読み込みの精度を上げている者がいて、頼もしいです。

RPA事業ではお客様からの指示によりロボットの開発を行っていたため、当社に業務知識が蓄積されることはありませんでした。貿易DX事業においては、とにかく徹底的に業界や業務を知り尽くし、現場のお客様と対等に会話できるレベルまで到達していることが当社の強みであり、こだわっている点でもあります。単純な商品売りではなく、業務を理解している者として業務改善や業務のデジタル化という切り口でお客様に対峙し、お客様とともに事業を創り上げていくところがRPAとはまったく違うポイントです。

確かに業界や業務をよく知り、お客様に信頼いただくことは重要ですね。お客様との会話を通じ、当社はどのような印象を持たれていると感じますか? エピソードなどもあれば、共有ください。

業界や業務をよく知ることにより、お客様との関係性がまったく違うものになると実感しています。貿易業界には専門用語や英語という障壁があるため、お客様社内の情報システム部などは、現場のお客様にとっては込み入った相談がしづらい存在として捉えられていることがあるようです。その点、我々のように貿易業務の知識があり、かつITDXも理解している人間というのは、非常に貴重な存在のようです。貿易部や物流統括部など、現場のお客様からは頼りにしていただいていると感じます。

物流大手のお客様からは、「そんなことまでできたら革命ですね!」という感嘆のお声をいただいたこともあります() また、以前、国際物流展に当事業本部が出展した際は、お客様から非常に驚かれました。当社はネットワーク関連のイメージが強く、貿易DXの分野に参入していることに対する認知度は、まだまだ低いようです。もっともっと皆様に知っていただく努力をしないといけませんね。

エンジニアがアプリケーション技術のみでなく、新たに貿易業務の知識も習得するというのは、大変ですよね。 皆さん、どのようにモチベーションを保たれているのでしょうか?

確かに簡単なことではありませんが、本来の専門分野とは違う領域に関する知識を深めることにより業務の幅が広がると、誰もが実感しています。メンバーの成長欲求が満たされている状態なのでしょう。日々の勉強とお客様との対話を通じて、一人ひとりが間違いなく進化しています。自分達で新たなストック型クラウドサービスを立ち上げ、会社の主力事業の一つとして回していきたいというチーム共通の目標が明確になっているため、受け身のメンバーはいません。皆、自分の意志で主体的に関わっているのです。

当社の掲げている『ありたい姿』においても、「ニーズの深掘り」と「ソリューションの進化」は重要な切り口となっていますね。

お客様のニーズを深掘りし、業務プロセスに特化してアプリケーションを開発する姿勢は、本部のDNAとして元々根付いており、債権回収システムなど他の事業においても、コンサルティングができるレベルまで業務に切り込む取り組みがなされています。

専門性の高い業務を深く理解することにより、初めて現場の本質や経営課題が見えてきます。当社に何ができるのかというリアルな気づきに繋がり、自社開発のアプリケーションを通じてお客様にとって最適解となるソリューションを提示することができると考えています。

最後に今後の展望についてもお聞かせください。

業務を知れば知るほど、お客様との対話を深めれば深めるほど、課題や解決策が見えてくるのが本貿易DX事業の醍醐味だと思います。単にOCRのサービスということでリリースするだけであれば、当社の優位性が保てなくなります。常に進化し続けることが重要です。今後はクラウドサービスにより蓄積したデータを利活用し、別の新たなニーズを掘り起こしていく取り組みも進めていきたいです。

お客様の立場や業務を正しく理解することが基盤となり、自社の立ち位置の把握や自己認識に繋がると考えています。お客様のニーズの深掘りをして満足するのではなく、いかに状況認識と自己認識に繋げ、新たな価値を創造していくかを常に意識し、進化を続けていきたいです。

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